バブカセ的追記コラム 2011「終論・バブルラジカセを趣味とすること」
世の中には様々な趣味がある。
取り憑かれたようにアメコミのフィギュアを集める奴、休みのたび三脚持っては機関車を撮りに行く奴、秘湯めぐりばっかりしてる奴、ひどいのになると、整備されてない国道を車載カメラに収めて「いかに険しい道か」を動画サイトに流す奴や、コマ犬の鼻に画用紙をあてて、それを鉛筆でなぞって「鼻拓」をとってる奴もいるらしい。
となれば、ハードオフやヤフオクに入り浸って、バブル期のラジカセばっかり集めてる奴も「ひどいの」の部類に入るだろう。――最後に、「ひどいの」の一人として、バブルラジカセを語ろう。
振り返ること20数年前、昭和の黄昏、平成の曙。その時代は確かにあった。
今と比べ、携帯電話も普及していない、インターネットもない、まことに不便な時代だった。が、カネだけはあった、などと振り返るのでは、あまりに空虚に過ぎるではないか。
せめて、「コストを度外視した高性能な製品が数多く作られ、それらは日本の技術力の粋を結して作られた歴史的な製品だった」ことを、後世の人々が覚えておいてあげねば、あのバブルという時代があまりに救われない。
国破れて山河あり、バブルはじけてラジカセあり。
あの頃の空気で部屋を満たしたいと思ったら、ちょっとデカめのインテリアが欲しいと思ったら、あなたもバブカセを探しに街へ繰りだそう!
このページは、久川がかつて2006年に立ち上げてクローズした趣味サイト『バブラジリア』のリサイクルページです。画質が粗いのは、何台か除籍(スクラップ)にしてしまい、再撮が効かないからです。
900 を手に入れて数日後、駅東のハードオフで発見した後継機 910 。
ベースモデルの 900 は三代目ソアラそっくりなその顔面に惚れて購入しましたが、今度はバブカセらしからぬコバルトブルーのボディに惚れてレジへ直行。
「お客さんコレ、テープ使えないけどいいの?」と聞かれ、「テープ使わないんでいいッスよ」と軽く応えたものの……。
Contents
使えないのはテープだけではありませんでした。
右スピーカーが 10% のパワーも出していません。
予測される最悪の事態を想定し、解体開始。
スピーカーの配線のハンダが外れていたので、これを再度ハンダ付けしたのですが、それでもダメ。
しかし奇妙なことに、ラジオだけはキッチリ右からも聞こえているのです。手術は成功の筈だ !!
まさかなあと思いつつ、ヘッドフォンでCDを聴いてみると、やはりヘッドフォンの右も音が出ていない。つまりCDユニットに問題があるわけだ。
んで、数件廻っていたら運良く黒の当該機を発見。ホコリでドロドロだったので、CDユニットとテープデッキ部をコバルトブルーのモデルに移植し、ついに 910 が真の力を発揮することとなったのです。
双子の兄弟(クマプー風にいうと)
えーと、正直言いましょう。
ウチのラジカセの中で、一番音が俺好みです。
ベースモデルの 900 同様ドンシャリズムを極力排し、しかしボーカルがキレイに透き通って聞こえる上(これって結構大事な部分だと思うんですけど、経年劣化なのか、ウチのラジカセにこの要件を満たすものが少ない。どうイコライザーをいじっても声が籠もってしまう)。あまつさえ低音重視のモデルではないながらもかなり健闘した BASS 力を持っており、すごく良い。
昨日まで 900 で聴いていた MASCHERA と Laputa はコイツで聴くことにしました。
ただし、この高評価には、ひとつ大きな前提条件があります。
それは、部屋が狭くあること。四畳半から六畳ぐらいの部屋で聴くのなら、多分コイツより良いラジカセは無いと思えますが、「ほんならコブラ級や犬軍団と比べてどやねん」と言われると、いささか火力面で弱いような。
いわゆるバブルラジカセといわれて連想されるサイズより二回りぐらい小振りなので(ガンダムでたとえるとフォーミュラですな)、例えば河原でバーベキューしながら黒人ラッパーとはしゃぐ用途には、パワー不足の感が否めない気がしますね。まあそんな状況があればの話ですけど。
しかし、表示フォントも縦長でナカナカに COOL だし、RX-DT909 同様、謎の完全デシベル音量表記など、いろんなラジカセをいじり倒した人に「変わっとるなあ」と言わせるには充分な製品であり、それほどレアでもないので、手を出す価値は充分にあります。
円熟期の余裕か、ド派手なイルミネーション
弱点といえば、「リモコンがないと身動きがとれない」、「ディフォルトの音量が大きすぎる」、「デシベル表記は数字が大きいほど静音なので馴れが必要」という点でしょうか。
いわゆるバブルラジカセらしいギミックの面では弱いので、こと機能の豊富さ・無駄さを愛するバブカセファンからは、コレクション対象から取り残されてしまったのかもしれません。
細かい音質設定もできず、五つのモードから選ぶだけなので(自分の場合、大概 VIVID でウッドボールですが)遊び甲斐もありません。しかし LINE 端子はキッチリ赤白のものが装備されており、カサも取らず良いものなんですけどね。
ちなみに、ウチの個体にはカセット部のカバーに何か白いシミがあり、どんな溶剤を使っても落ちずに困っていたのですが、過日とうとう強攻策に出てしまいました。
2000 番で削る → コンパウンドで均らす → 周りをマスキングゾルし、つや消しスプレー。
ザラメは消えてしまったけど、遠くから見て分からなくなったのでまあいいか。
93 年の発売だけに、インテリアとしても今なお通じる(どんな感性だ)優れた一品です。
このギミック要るか? …パカッと開くパネル
Panasonic RX-DT9│RX-DT99│RX-DT909
SONT CFD-900│CFD-700│ZSX-G7000
Victor RC-X80│RC-X999│SANYO PH-PR910
Author ウェブデザイナー久川智夫
せっかくなのでこちらの記事もご覧ください
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