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2006/

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Sun

ガンダムの歴史 (05) 『機動戦士ガンダムZZ』(ハマーン戦争)

U.C.0088 女帝がそっと微笑んで

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このページは、久川がかつて1999年に立ち上げてクローズした趣味サイト『GUNDAM DICTIONARY WEB』のリサイクルページです。
なお、このコラムの執筆は2006年であり、その後に発表された作品の中で塗り替えられた設定等があるであろう旨、ご考慮いただいた上でお読みください。

 
ティターンズにエゥーゴ、ニューディサイズに正規軍と、連邦内部が混乱に混乱を、分裂に分裂を重ねる中、アクシズは次第に体勢を整えていった。
 
地球制圧よりもコロニー制圧を先に選んだハマーンは、各方面軍を組織。
そのサイド1制圧部隊には、青年将校マシュマーが選ばれた(劇中では彼一人がアクシズの代表として戦っているように映ってしまうが、彼はあくまで制圧部隊の筆頭に過ぎない)。

ガンダムZZ~前半のストーリー

そして、遂にはハマーン自ら地球へと降下。
ダカール議会は完全に制圧され、彼女はそこでネオ・ジオンの設立を宣言する。
 

閑話休題「ネオ・ジオンの国号問題」

ネオ・ジオンは国家の体を整えてはおらず、これといった建国宣言も為されなかった。
アクシズ人口が3万程度であり、一方で一億国民を抱えるジオン共和国と、ふたつのジオン国家が並立することを嫌ったためであろう。
 
劇中、義勇的参加をしたジオン共和国の兵士を始末するよう、マシュマーが指示するシーンがあるが、内紛を抱えたハマーンはサイド3内での自己神格化に手が廻らず、おそらくジオン共和国の国防隊将兵は、ネオ・ジオンのコスプレ青年団を極めて軽く見ていたのではあるまいか。それは、獄中のナチス副総統ヘスが、ネオナチの若者を軽蔑したように――。
 
余談だが、一部資料では「ハマーンはネオ・ジオンを【国号】とした」とするものもある。
もちろん、この種の資料では「第一次ネオ・ジオン紛争」の称を用いず「第一次ネオ・ジオン戦争」と表記されている。ガンダムにおける国号問題はそもファーストから既に不思議で、設定段階のジオン【皇国】がいつの間にか【公国】となり、その亡国の君がZZ関連の資料では【皇女】として紹介されている。
 
これといった功績もないのに公王の孫が皇女を名乗るのも無理があるような気もするのだが、外人部隊の一大尉がいつの間にか大元帥になっていたという例も現実にはあるので、まああんまり気にしないようにしたい。

 
しかしハマーンに迫る影は、エゥーゴやカラバの残存勢力のみに止まらない。真の敵は、組織の内側にこそ存在していた。

ガンダムZZ~後半のストーリー

青年将校グレミー・トト。
 
彼はザビ家の遺児として生を受けるが、ミネバとハマーンの世にあって力は与えられていなかった。しかし、ネオ・ジオン内の反ハマーン勢力は彼を担ぎ、「正統なるジオンの後継者」を宣させるのである。
 
グレミーのほうもまだ若く血気盛んで、ニュータイプ部隊を抱える彼の勢力は、最早ハマーンも無視できるものではなくなっていた。
 

閑話休題「グレミーの反乱を誰が仕組んだのか」

ネオ・ジオンの軍組織は、従来のものと比べて極めて異質である。
ハマーンは、自らに忠誠を誓う美形の青年将校たちを司令官に登用し、彼らに騎士道精神を叩き込んだが、そのいずれもが若く経験不足で、後に叛乱を企てたグレミーに到っては、一兵士から身を立てたものだった。
(なお『Gジェネ』等のゲームでは、マシュマーは少佐相当、ゴットンは大尉相当として扱われている)。
 
彼にはザビ家の血というバックボーンがあったが、最初からそれを知っていたハマーンなら、ミネバの正統性を危うくするこの青年を生かしておいた筈はない。想像だが、アクシズにはハマーンさえ手出しの出来ない長老会議のようなものがあって(文庫版で、それを想像させるグレミーの独白がある)、彼らがグレミーの上げ底に一役買っていたのであろう。
そして、着々と進むハマーンの地球制圧に危機感を抱き、グレミーを担ぐことでハマーンの蹴落としを図ったのではあるまいか。
 
では、ハマーンの権威が衰えて得をする者は誰か。ティターンズとエゥーゴの内紛でハマーンが漁夫の利を得たよう、シャア・アズナブル、またはそれに従うカイザスなどが、ハマーンとグレミーの内紛を工作したのではあるまいか。想像ですよ。

 
反乱の狼煙は、アクシズにて上がる。
 
ハマーンが「ジオン発祥の地」であるサイド3に入ったのを見計らい、決起したグレミー軍は、ハマーン軍と衝突。
しかし、アクシズ内部に潜入したエゥーゴの一部隊により、グレミーはその若い命を散らすこととなった。
 
その後ハマーンも倒され、指導者を失ったネオ・ジオンは瓦解することになるのだが、果たしてこれが成功していなければ、ハマーンの勢力は更に拡大していたと思われ、そうなれば、敵側に同士討ちを期待できたエゥーゴ、ことにブライト中佐率いるネェル・アーガマ隊は、後の世までその軽挙を責められることになっただろう。
後のロンドベル結成もシャアの反乱も、その母体となるアクシズの戦力が消耗しきっていれば、起こらなかったであろうからだ。
 
思えば一年前、連邦の内乱に乗じて地球圏に入り込んだアクシズが、今やそれと全く同じ形で崩壊することになるとは――。
皮肉な結末ではあったが、ハマーンにグレミー、それはどちらもジオンの名を騙るザビ家ゆかりの者でしかなかった。
 
真なるジオンとは、ジオン・ズム・ダイクン。
一年戦争の遙か前、ザビ家がサイド3を支配する遙か前、デモ活動を主体とした抗議行動で連邦と戦い、ジオン共和国を建国した活動家がその人である。
しかし、その同志・ザビ家は連邦と実力を以って戦う道を選び、遂にはジオンを暗殺。自らが支配者となるべくジオン公国を建国したのである。
 
以上のことからも、このジオン公国という集団の正統性は疑わしい。
もし国名にジオンの名を使うのならば、その主にはジオンの血を引く者こそが相応しいのではないか――。
 
そう考える一人の青年、シャア・アズナブル。
彼は一年戦争をザビ家の下で戦い、その裏でザビ家を倒すために暗躍した。
 
彼の真の名をキャスバル・レム・ダイクン。――ジオンの実子、その人である。
彼は前述の通り、アクシズを脱してエゥーゴに参加、クワトロ大尉を名乗り戦っていたが、エゥーゴがティターンズを倒すと同時にいずこかへと姿を消していた。
以来、その行方に関しては一切判っていない。
だが彼は、決して早まった行動に出るような男ではなかった。
 
ハマーン戦争の後、反地球連邦の動きは一時也を潜めてしまう。
一部でカラードやエグムといった民間組織、木星でのネオ・ジオン軍残党内部の抗争などの小さい衝突はあったものの、地球圏は平和にその刻をきざんでいた。

俺レビュー:★★

実は、俺がいま一番「新訳として観たいガンダム」ナンバーワンがこれです。
 
監督自ら筆をとり、5冊で出した『Z』の小説版を、『ZZ』では他の作家に投げて2冊で出したように、監督は別の人(ラノベのアニメ化をやったような人)に任せ、前後編ナシの2時間のスピード展開で、ガンダムチームの衣装も今風に新しく、ネオ・ジオン士官の軍服はベルばらコテコテにしたやつが観たい!
 
――なーんて、思いつきをもちましてレビューに代えさせて頂きます、というぐらいの作品です。
スピンオフの時代設定は好き(『逆襲のギガンティス』や『ダブルフェイク』、『ヘルメス夢幻』あたり)なんですけどね。

この作品にまつわる俺のオススメ

このブログ内のガンダム歴史コラム記事リンク

ガンダムの歴史/序章~宇宙史の始まり

第1集~ 0079 一年戦争(ファーストガンダム)

第2集~ 0083 デラーズ紛争(0083)

第3集~ 0087 グリプス戦役(Z)

第4集~ 0088 ペズンの反乱(センチネル)

第5集~ 0088 ハマーン戦争(ZZ)

第6集~ 0093 シャアの反乱(逆襲のシャア)

第7集~ 0123 コスモ・バビロニア建国戦争(F91)

第8集~ 0133 木星戦役(クロスボーン)

第9集~ 0153 ザンスカール戦争(V)

第10集~ 0203 マハの反乱(ガイア・ギア)

第11集~ 0223 平成ガンダム以降(G・W・X)

ガイア・ギアとシャア・アズナブル(前編)

ガイア・ギアとシャア・アズナブル(後編)

ガンダム階級論(前編)パプティマス・シロッコは大尉が妥当か?大佐か?

ガンダム階級論(後編)ザンスカール帝国の階級問題について考える!

ムーンレィスの失敗~小論「地球帰還作戦はなぜ失敗した?」

逆説の黒歴史・人類黄昏編(前編)最終戦争とカイラスギリーの秘密

逆説の黒歴史・人類黄昏編(後編)真なるニュータイプとは何か

Author ウェブデザイナー久川智夫

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