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2014/

8

18

Mon

グッドラック(松本明子のパチンコ屋のほう)の感想とかレビューとか

「キムタクが出ていましたね」って過去10回は言われた

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わりと『グッドラック』への検索が多かったので、加筆していたら全く別物になってしまいました。
よって新規記事扱いということで、今日は『グッドラック』の話などを。

そもそもどういうドラマか〜隠れた佳作です

松本明子さん演じるパチンコ屋の2代目オーナーが、父から受け継いだ店を立て直していくお話。
そのパチンコ屋の土地を地上げして、跡地にショッピングセンターを建てようとしているゼネコンの若手エース(豊原功補さん)との戦いが主にストーリーの軸となっています。
 
基本的に1話完結で、たとえば「店に客が一人も来なかったら店を明け渡す」という勝負をさせられたり、関西のパチプロ集団に店を潰されそうになったりと、毎度毎度「もうこの店も終わりだ」というピンチを、亡父の名望・下町の情・そして伝説のパチプロ(佐野史郎さん)のアドバイスで跳ね返していくわけです。
 
さらに、これに絡み合うのが姉妹&兄弟対決。
父から受け継いだ店を潰したくない姉と、パチンコ屋なんか大嫌いという妹(秋本祐希さん)の葛藤、人生設計バッチリのゼネコンの若手エースの兄と、打ち込めるものがないまま何となくパチンコ機器の営業になった弟(原田龍二さん)のライバル関係。しかも後に姉は弟とひっつき、兄は妹とひっつくという、「一体ナニ兄弟っていえばいいんだ」という恋愛ドラマとしての展開なんですね。
 
セリフ廻しも意外とシビアです。
 

「どうせ行き場所なくしてる女よ、私は。短大出て、OLやって、年収600万程度の男みつけて、結婚して、子供産んで育てて、いつかはどこかにマイホームなんていっちゃってさ。その程度の現実が夢だと思い込んで。それも無理ならもう行き場所もない。わかってるわよ、こんな女がパチンコ屋のオーナーだなんて、ちゃんちゃらおかしいと思ってるんでしょ!」
(松本明子さんのセリフ)

 

「お前は、子供の頃から何も変わってない。その場その場で流されて、本気で打ち込めるものを見つけられもしない。自分が本当は何が好きで何がしたいのか、お前は自分でも分かってない。お前にははなっからビジョンも夢もない。違うか?」
(豊原功補さんのセリフより)

 
ああ耳が痛い、耳が痛い。

王様のレストランとは違うのだよ、レストランとは

『王様のレストラン』のヒットの後だけに、その影響を感じる箇所も若干ありますが、次の3点において大きく異なります。
 
・専守防衛であるということ
人材資本のフレンチレストランと異なり、こちらは新台入替もままならないパチンコ屋であるため、基本的にカタルシス部分は「今回も閉店をまぬがれた…」という安堵感と、パチンコを愛する下町のお客さんによって助けられたという部分に集中しています。
店は最初から最後まで大きくはなりません。
 
・敵(地上げ屋)がいるということ
主人公が経営する「飛鳥球殿」を潰して、跡地にビルを建てようとしている豊原功補さん演じるゼネコンのやり手幹部が、毎回あの手この手で邪魔をしてきます。
これを、仲間との友情や、伝説のパチプロのアドバイスによって撃退していくわけです。
 
もうお気付きかも知れませんが、ドラマの作りとしては『様レス』より実はこっちのほうが普通です。
しかし、日テレドラマ特有の画面の安っぽさとでもいいましょうか、これに輪を掛けて舞台のパチンコ屋がやたら汚いので、『王様のレストラン』とは全く異なるミョーな「味」が出ているのですね。
 
これはおそらく、90年代作品特有のものです。
店内の自販機は古めかしい、家電の中途半端な新しさ(ハードオフのジャンクコーナーで、テープの剥がし跡が真っ黒けになっている感じのプラスチックの扇風機。今ならメイドインチャイナでももう少し洗練されている。例えるなら、ビレバンで売ってる7色に光る丸い加湿器みたいな、あの系譜)、駅メロの聴こえる薄暗い事務所(今なら従業員5人いればパソコンの一台は最低限ありそうなものですが)、どこもかしこも、いい感じに古めかしいんですね。
『沙粧妙子』の記事でも書きましたが、昔の作品はそういう部分を見るのも楽しいものです。
 
あとは何でしょうか。
・恋愛ドラマのエッセンスが、やや『様レス』より強い
という点も指摘しておきましょう。
 
「立て直し人にヒロインがホの字で、その子に片思いの男がいる」という図式はどちらも同じですが、こちらは割りとしっかり恋愛ドラマをやってくれています。
『様レス』は小6ぐらいの淡い恋ですが、『グッドラック』は役者さんも男前で、わりとしっかりした恋物語を見せてくれるんですね。

伝説の9話

といっても、トレンディが英雄本色ではない日テレドラマなので、もう取って付けたというしか言いようのない、
 

・歩道橋での松本明子さんと原田龍二さんの告白シーン
・それを妹(秋本祐希さん)が見つける
・病身の豊原功補さん(妹の今カレ)が、息も絶え絶えに追いかけてくる
・そこに豊原さんの元カノ(吉村美紀さん)が現れて立ちふさがる
・歩道橋の階段で妹ともみ合いになり、突き落とされる
・その騒ぎに松本明子さんたちが気付いて告白シーンが止まる

 
 

この5人が偶然おなじ歩道橋に居合わせる確率を求めよ。

 
みたいなツッコミ果汁100%のシーンもあったりして、特に第9話はわらかしてくれます。いつ出てくるんだ韓流スター。
そう考えていくと、元カノの階段突き落とし行為は過失ではなく綿密に練られた計画的犯行となるわけで、法律上の扱いも変わってくるわけですな。
 
その手前のシーンにも面白いのがありました。
 
明け方、店の周りを歩いている松本明子さんに、元・従業員の金田明夫さんが小さい熊手を持って新装開店のお祝いを言いにくるのですが、彼が「長谷川にみつかるとしめしがつかない」と言って去っていった数メートル先で、その長谷川(故・伊藤俊人さん)が現れ、招き猫を手渡してくれたりするのです。
 
しめしがつかないわりには示し合わせてきたんだなあと微笑ましくなり、ていうか本当は12話構成だったけど急遽1話減らされたんじゃないかと勘ぐってしまいます。
ちなみに早暁の薄暗いシーンなのに、2人とも引き抜かれたライバルパチンコ店の真っ赤な制服を着ています。目立つわ!
 
あと、もうひとつありました。
 
この回の新装開店エピソードは、豊原功補さんの悪巧みで「主人公の店の新装開店用の新台を、すべて裏ロムにすりかえて新装開店をできなくする」→「その上で新装開店のウソチラシをばらまいて店に客を集め、信用を失墜させる」という手の込んだ二段構えなのですが、このウソチラシをばらまく男たちが全員サングラスをしているんですね。先取りマトリックス。
 
でも、俺は「わかりやすいことが正義」と考える派の人間なので、これには笑いながらも妙に納得してしまったのですが。

どこが良いのか

俺が個人的に好きなだけで、ものすごい及第点ドラマだと思います。
 
氷室京介さんの『SQUALL」も、エンディングテーマとして大変ノリがよい(エンドロールに入る手前、画面がモノクロになって雷の音がする演出も、ちょっと古いけどいいじゃないですか)。
 
佐野史郎さん演じる伝説のパチプロ「ぶっこみの竜」がえらくカッコよく、この方特有のノソ~っとした影のある歩き方が、ちょっとたけし歩きっぽくって(衣装もちょっと似てる)、パチプロの裏世界感が出ていて良いのですね。
 
不治の病気が発覚したり、夢である都市開発計画が頓挫してからの豊原功補さんの狂気と脆さも、なかなか人間的なライバルで良いと感じました。
 
しかし、9話以降の「とってつけて何とかなる展開」はいささか。
本当にあと1話ぐらい必要だったんじゃないかなあ。
「カネがない、従業員に給料も支払えない」とぼやくわりに、話運びがご都合主義すぎて、「いいように脚本書いてもらえばいいじゃん」と感じてしまうのはいささか、でしたね。

以降、ドラマとは関係ない話~パチンコが好きじゃありません

そもそも論で言うと(使い方あってる?)俺はパチンコが好きじゃないんです。
 
俺が思うに「好きじゃない」には2種類あって、「自分がああなれないから好きじゃない」というのと、「本当に好きじゃない」の2パターンがあるのですが、「ドンキの駐車場に溜まってる連中が好きじゃない」のは、俺にとって前者です。
 
見た目のカッコこそそんな風体(PC版トップページ参照)をしていた時期があるのに、俺は集団で居るとおとなしくなるタイプであり、ヤリチン人間になれなかったのが大いなる悔いなので、好きじゃありません。
 
「夜だけどこのまま海行くべ」という体力もなかったし、カンクルー流行ってた頃にカンクルー聴く側じゃなくてTSUTAYAの店員として貸す側だったので、「あしたバイトあるから寝とかないとシンドイな」という理由から、真夜中に宇都宮から海へは行きませんでした。
 
よく「あーもうこの歳になるとオールは無理」とか言う人いますけど、俺は元々無理だったから。一睡もしなかったときのあの体温下がってる顔青いあの感じとか無理だったから。
 
「SMとか好きじゃないとか言いながら、いざとなったらキャッキャ言ってはしゃいでる女」みたいなのもこのタイプに近いかも知れません。

だから本当に好きじゃないんだってば

で、問題なのは「本当に好きじゃない」という後者のパターン。
俺が「本当に好きじゃない」のは次の通りです。
 

本当に好きじゃないもの1

・歩きスマホしてるやつが「ここ立ち止まっちゃダメだろ」と言いたくなる場所で急に立ち止まっているのを見たとき
 
本当に好きじゃないもの2

・「うちの社説は大学受験に出る」だの「災害時には公共放送が役立つ」だのとホワイト全開・社会の公器みたいなことを言っときながら、末端の拡販員は「てめえの迎え来た奴見てみろよ、あいつらみんなヤーコーじゃねぇかよ!」(『アウトレイジビヨンド』の松重豊の台詞)という方々がドアを叩いているのを見てしまったとき
 
本当に好きじゃないもの3

・なんだよ『○○でガンが消えた』って。藁にもすがる気持ちで治療法を探してる人相手に、少ないデータと売名で書いたような疑似科学本で小銭稼ぎしてるんじゃねえよ
 
本当に好きじゃないもの4

・何でペットボトルのフタを1キロ集めて10円分のワクチンにしかならねえんだ。「回収ボックスは五千円で別途お求めください」ってどういう神経してるんだ。ソマリアでもボツワナでも現金で送るわそんなもん

 
――これらと並んで、開店前のパチンコ屋の入口に座っている若い連中が苦手なんです。
 
これはもう完全に俺の偏見なんですけど、なんか治安が悪い感じがしませんか。
 
ここに並んでる方の中には、きっと俺なんかより学歴と収入と人生経験がある人も少なくないと思うんですけど、何かこう、パッと腰のあたりをまさぐって、「ハッ、銃を忘れた!」と言いそうになるんですね。
 
『グッドラック』の劇中では、主人公の妹が「パチンコをやる人間にロクなのはいない」と言ったり、フロアスタッフの離婚調停中の奥さんが「パチンコに家庭を壊された人間の気持ちが分かるか」と言ったり、俺だけではないだろう世間一般の認識を語ってくれます。
 
こういう、きちんと「パチンコ礼賛ドラマ」になっていない&常識論を唱えるキャラクターがまさに常識人であるという点も、良くできていると思います。

今は放送できないんじゃないか?

前回レビューした『沙粧妙子』とは別の理由で、規制の多い今、このドラマは再放送ができないんじゃないかと思います。
 
以前パチンコ屋さん関連の案件を手掛ける場面がありまして(仕事ですから)、そのとき見せられた規制がまあ凄い。
こういう告知はダメ、こういう表現はダメ、テレビでパチンコ機器メーカーが「イメージCM」しかぶてなくなったのも、どうやらそういうところに理由があるらしくて。
 
いわば、一時のサラ金のCMみたいなものですね。
カネを借りてハッピーとはならない、ご利用は計画的に——と謳わなければならない規制、みたいなもので――(今はだいぶ緩んでますね。YouTubeとかで、金貸しのCMと、金貸しに泣き寝入るなという弁護士のCMが同時に流れているのがおかしくて仕方ないのですが)――パチンコに携わってハッピーになることの多いこのドラマは、18年を経て再放送できないんじゃないかと想像してしまうのです。
 
CMで言うと、一時(2004年頃)はひどかったもんなあ。
「CRナントカ」→「派遣屋」→「金貸し」のコンビネーション・アーツ。
K-1の中継つければ3職種コンプリートできたもんなあ。
 
今は携帯屋と弁護士事務所。
映画をあまり観ないので、渡辺謙さんは俺の中でドコモの専属役者です。
 
ああ、話がそれました。

反面教師

でも、よくよく思い返すと、7年前に死んだうちの親父が、ギャンブル好きだったんですね。
 
晩年はすっかり足を洗っていましたが、スカパーでは競輪やパチンコのチャンネルを入れていたし、ちっちゃいころ雀荘に連れて行かれて、たぶん麻雀仲間だったのでしょう、「てめえの迎え来た奴見てみろよ、あいつらみんなヤーコーじゃねぇかよ!」(『アウトレイジビヨンド』の松重豊の台詞)という方々にかわいがられた記憶があります。
 
ということは、俺の趣味にしてお仕事のウェブデザインだったり、歴史の本読み、プラモ作りやクルマ磨きみたいなものも、俺のチビによって全否定されてしまう可能性は否定しきれないわけですな。
 
んで、こんなことを考えていくと、「きゃ~政宗かっこいい~」とか言ってるレキジョさんに、あんたらのご先祖様の断末魔は本当に「ぅおのれ政宗ェェェ」じゃなかったろうな、と思ってしまうのです。
 
いや、殺ったり殺られたりの歴史の流れにおいて、これを考えるのは無意味なことなので、別に俺の趣味がチビに全否定されてもいいじゃあないか、と。
もしかしたら、父方の先祖が家康派で、母方の先祖が石田三成派だったのかも知れませんから。
 
俺はギャンブルが好きではない人間ですけど、親父は大好きだった人間なので、パチンコドラマを楽しむぐらいの度量は持っておきたいと思った今日この頃なのでした。

Author ウェブデザイナー久川智夫

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