バブカセ的追記コラム 2011「戦争バブル・経済バブル」
「大艦巨砲主義」という言葉がある。
さきの戦争で日本を敗北に導いた一因として、あまり肯定的な文脈で使われることのない言葉だが、自分はこの言葉は「巨砲大艦主義」とするのが正しいと思う。なんとすれば、大口径の砲ありきで自ずから船体も巨大化していったのであって、大艦であろうとした結果、巨砲が積まれたわけではないからだ。
そんな言葉遊びはさておき、バブルラジカセ、ひいてはバブル期に作られた工業製品にはこの言葉がよく似合うものが多い。
「戦争に勝つ」、あるいは「消費者の底なしの物欲を満たす」という目的を前に、潤沢な資金を好き放題つかえるなら、彼らのやることは自ずと決まってくるのだろう。
戦時下、バブル期に共通するのは、現代の価値観では到底理解のできない場所に莫大な額の投資がなされている、という点だ。
さきに述べた巨砲大艦は、著名な大和のほか十隻を運用していたし、陸軍は堅牢な要塞を内地外地に幾多も築いていた。
もちろん、福祉・インフラの厚みは現代の比ではないし、それらを犠牲にして、あまつさえ多くの国民の生命を費やして遂行された戦争であるという点には思いを致さねばならないが、あれだけの規模の兵器・要塞を、七十年前の日本人が作り上げたということには恐れ入る。
バブル期にも、似たようなことが起きた。2011年の日本にあっては信じがたいことだが、アメリカ繁栄の象徴ロッフェラー・センターを日本が買った。多くのアメリカ企業を買収した。狐憑きの料亭の女将が、兆のカネを動かしたのもこの時代である。
あの頃の日本には、カネで世界征服ができるのではないか、かつて軍事力でアジアを席巻した日本が、一滴の血も流さずに世界の覇権を握れるのではないか、という勢いがあった。
だが――。いつの間にか、その当事者たちさえ気付くことなく、日本の絶頂は「終わっていた」。
このページは、絶頂と共に世に現れ、その衰退と共に消えていった「バブルラジカセ」について記録するページである。
このページは、久川がかつて2006年に立ち上げてクローズした趣味サイト『バブラジリア』のリサイクルページです。画質が粗いのは、何台か除籍(スクラップ)にしてしまい、再撮が効かないからです。
出ましたキング DT9 。
あんまりキングキング言われるからちょっとにくたらしいっちゃ憎たらしい感のある DT9 でございます。
私の好きな CFD-900 と比べると、確かに格上なのは間違いない……のですが、おんなじCD焼いて同時再生して検証してみたけど、まあ私が『R4』のサントラで検証したのも悪かったっちゃ悪かったのですが、そない極端なもんでもないぞ、と。
確かによく響いてはいるんですがね。
私の中での下馬評がめっちゃ高かった分、むしろ健闘した CFD-900 を褒めてやりたい。
バブカセキングはダテじゃない!
確かに音はいいのですが、申し訳ない話、愛好家の方には申し訳ない話、ちょっとデザインがレトロすぎますよねえ。なんといいましょうか、観音開きのクラウンみたいな。『仁義なき戦い』で、ヤアコが三人キツキツに乗ってそうなデザイン。ようワカラン。
私の作業台の上に DT99 が鎮座している所以がこのデザインにあるのですが(もしも DT909 に思い入れがあって、DT99 を上回る音質との評判があれば、そっちを使っていたことでしょう)、やっぱし仕事柄、部屋に誰も入れんワケではないので、この子には「寝室でCD奏でる委員」になってもらいました。ていうか音に迫力がありすぎて眠れません。うーん、ういやつ。
やっぱりお前がナンバーワンなのか?(総合的にみると DT99 のほうが上だとは思うんですがね)。
どう思うカカロット。
手前の黒いトコが音色関係
私は清掃目的以外はバラシもしないのであんまり難しいことは申し上げられる立場にないのですが、このバックライトは色がとてもイイ(それにしても簡単なこと言いすぎ)。
そして CFD-900 と比較すると、全般的に操作がカンタンでわかりやすくてイイ。
イイのですが、ただしひとつ。ここで取り上げた三機種と比して、コイツはヤフオクなどでの吊り上がり具合が半端じゃないので、「その値段出すなら安モンの 5.1ch スピーカーでも買ったほうがいいよー」というレベルに達したら、よほどのコレクターの方でない限り降りた方がいいと、再販直前のダブルフェイクを五千で掴んじまった俺なんかは思う。
ありがたいことに、この個体はそれほど吊り上がることなく落ちてくれたけど。
美しい歌丸グリーンは三段調節可能
Panasonic RX-DT9│RX-DT99│RX-DT909
SONT CFD-900│CFD-700│ZSX-G7000
Victor RC-X80│RC-X999│SANYO PH-PR910
Author ウェブデザイナー久川智夫
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