バブカセ的追記コラム 2011「現代におけるバブルラジカセの存在意義」
あれから日本にもいろいろな事があった。オウム事件と神戸の震災、北朝鮮とのこと、ホリエモンの時代、リーマンショックに端を発する大不況、そして過日の震災。
いずれも人々の価値観に大きな変化をもたらしたが、バブル景気は人々を善くしただろうか、悪くしただろうか。
歴史上、「清貧」という言葉は富める人たちを粛正するための口実に使われてきたし、文化の爛熟に好況という条件は欠かせず、なればこそのバブルラジカセなのだが、それでも日本人の意識に通底する「奢侈は悪」という価値観を揺るがせたという一事において、バブル景気は(あるいはホリエモンの時代も)日本人にとって悪であったと考える。
難しい理屈ではない。バブル景気の恩恵に浴した世代の語る当時の武勇伝を、それ以前の世代と、それ以後の世代がともに眉を顰めて聞くのなら、日本人にとってバブルは悪、少なくとも異常事態だったと言えるのではないか。
確かにあの時代、あれだけのスペックを持ったラジカセを作ることができたのはバブルのお陰だ。しかし、それらを進化発展させた後継機に出会うことができないのもまた、バブルのせいなのである。
私がバブル景気についてどう考えるかはさておき、私はこのバブルラジカセという機械が好きだ。
バブルラジカセは、自動車でいうところの「旧車」のようなものである。
現行車種と比べて馬力も足らず、燃費も悪いが、それでも旧車には、作られた時代の「空気」があり、持ち主はそれを愛する。バブルラジカセ・コレクションも同じことだ。迫力のある音質、無駄にでかい筐体、無駄に多いボタン、今では使うこともとんと無くなった端子の数々に、作られたバブルという時代の「空気」を感じるのである。
このページは、久川がかつて2006年に立ち上げてクローズした趣味サイト『バブラジリア』のリサイクルページです。画質が粗いのは、何台か除籍(スクラップ)にしてしまい、再撮が効かないからです。
DT9 、DT99 と続く「9の系譜」のうち、音質面で最も不名誉な評価を与えられている 909 の登場です。
小山のハードオフでトッ捕まえてきたのですが、なぜか RC-X750(3,150 円)の隣に 525 円で鎮座。筑波で 2,000 円も出さなくて良かった~と思いつつ、状態も良好。惜しくもリモコンは失われていたのですが、コブラの懐を覗いたらボタンだらけだったので、リモコン無しでも充分戦えると判断。即買いしてみました(結局 99 のリモコンで代用可能)。
バックライトはキレイです
で、せっかく「9の系譜」が三台揃ったので、ここはひとつ聞き比べなどをしてみたのですが、俺の耳がアバウトに出来ているのか、それとも 9 および 99 の経年劣化がひどいのか、うーん……。9 と 99 の違いは何となく分かりますが、99 と 909 の違いはイマイチわかりません。
しかし、イコライザー・ディフォルトで一番良い音を出していたのは間違いなくコイツ。
いじればいじるほどヤン車のカーステみたいな音になってゆくので、停電後の対応が一番ラクなのは 909 ですね(雷都の異名をもつ宇都宮は、夏場かならず一度や二度ブレーカーが落ちるので)。
スピーカーの生産国が違うらしい
自分は、音質・機能ともに十二分に良い機械だと思います。
問題はデザイン面でしょうか。コレクターの方は、たくさんハードオフ巡ってお気に入りの一台を正室に迎えればいいのですが、コイツはどちらかというと愛人顔です。
弟分の 901 が前面ネット貼りという珍しい風体をしていたので、特にコイツは目立ったのだと思いますが、なあんか面構えが古い。どことなく仮面ライダーですよね。99 より古めかしいってどうなんよ。
しかも、手でコブラの鎌首をもたげると、電源入れ直してもう一度閉めるボタンを押さない限りうまいことハマらないという大きな弱点があります(ウチの個体だけか?)。まあ、手で開けるな、電源入れてスイッチ押せという話ではあるのですが、忘れて御開帳におよぶと、後々メンドくさいことになるので注意。
ジョイメカファイトのボコボコみたいな顔
Panasonic RX-DT9│RX-DT99│RX-DT909
SONT CFD-900│CFD-700│ZSX-G7000
Victor RC-X80│RC-X999│SANYO PH-PR910
Author ウェブデザイナー久川智夫
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