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2006/

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Sun

ガンダムの歴史 (01) 『機動戦士ガンダム』(通称ファースト・ガンダム、一年戦争)

U.C.0079 宇宙は地獄を見た

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このページは、久川がかつて1999年に立ち上げてクローズした趣味サイト『GUNDAM DICTIONARY WEB』のリサイクルページです。
なお、このコラムの執筆は2006年であり、その後に発表された作品の中で塗り替えられた設定等があるであろう旨、ご考慮いただいた上でお読みください。

 
第1号コロニーの完成以降、人類の宇宙移民は急ピッチで進められ、A.D.1983に生まれたミノフスキー博士の存命中にも、その作業は既に大部分が終了させていた。
 
そして、その生活環境の急激な変化は、地球にあってコロニーの政治を握る「地球連邦政府」への反発を生むに到る。

語られなかったプロローグ

それは U.C.0079 のこと。
宇宙に7つあるコロニー群のひとつ、ジオン公国ことサイド3の指導者・ザビ家のギレン総帥は、弁舌によって国民を駆り立て、連邦に対して宣戦を布告。
人類史上初の人型ロボット戦闘兵器――モビルスーツ――ザクを使った奇襲は、見事に成功を収めた。
 
地球の環境は徹底的に破壊された。
これら開戦直後に行われた一連の奇襲攻撃は一週間戦争、そしてブリティッシュ作戦と呼ばれる。
この時点で、50 億近い人口が一気に失われた。
 
コロニーは落ちた。
だがそれは、ギレン総帥の描いたシナリオとは大きく異なる出来事だった。
彼の真の狙いは連邦本部ジャブローの破壊にあり、シドニーなどではない。敵拠点を潰さねば、国力に劣るジオン公国に勝ち目はないのだ。
 
彼は計画を完遂すべく、新たなコロニーを探すため、大艦隊をサイド5へと差し向けた(これは連邦艦隊を一箇所おびきよせ、殲滅するための策謀だったという説もある)。
しかし、阻止すべく集まった連邦艦隊の抵抗たるや凄まじいものがあった。
 
ジオン側の指揮官ドズル中将は、コロニー落しという当初の計画をやむなく断念。新兵器ザクによって連邦艦隊を壊滅せしめることにその目的を変え、そして、今や連邦軍の代表的人物ともなった、智将レビルを捕縛せしめるのである。
 
これが後にいうところの「ルウム戦役」であり、ジオンにとっては事実上最後の快勝となった。
対する連邦は艦隊のみならずレビルまでも失い、激しく動揺した。当初は、ジオン軍から突き付けられた休戦条約(事実上の降伏)にも応じる腹であったという。 
それほどまでに、彼らは追い込まれていた。
 
しかし、そこにひとつの奇跡が訪れる。
あのレビルが、敵地より奇跡の生還を遂げたのだ。
 
壇上で彼は言う。「ジオンに兵なし。我々も苦しいが、ジオンも苦しい」――。
この彼の言葉に勇気付けられた連邦は、突き付けられた休戦条約を一蹴。「核や化学兵器を使わない、捕虜を人道的に扱う」といった、戦時条約を結ぶのみに留めた。

ファースト・ガンダム~前半のストーリー・地上編

その後レビル大将、ティアンム大将といった優秀な指揮官に支えられた連邦は、戦力の建て直しに成功。
「ビンソン計画」により失われた艦隊を再建し、開戦後4ヵ月目には、「ガンダム」という名の連邦軍初のモビルスーツまでも完成させ、反撃に転じることとなった。
 
一方、三十分の一程度の国力しか持たないジオンは(総兵力では五分の一程度とされる)月日を重ねるにつれ防戦一方となっていった。
そしてついには指導者ザビ家の末子・ガルマ大佐までもを失い、地上のジオン軍は最早死に体となり、均衡状態を保つことさえできなくなっていった。
 
地球上のジオン軍を一掃するため、連邦がまず着手したのは、敵の補給を断つことであった。
具体的には、敵将マクベの守る鉱山基地オデッサを攻略し、地球からの資源流失を抑えようとしたのである。
 
「オデッサの戦い」は死闘の末、連邦の勝利に終わった。
ジオン側も知略を巡らせたが、前線のジューコフ大佐や裏切り者・エルラン暗躍の甲斐なく、物量とレビルの名采配を前に敢えなく敗退。
連邦は、地球を取り戻したのである。

ファースト・ガンダム~後半のストーリー・宇宙編

オデッサを陥落せしめたレビルは、星一号作戦を発動。
その第一段階として、宇宙要塞ソロモンへの攻撃を開始する。
 
ここでティアンム大将は、いまだかつて人類の使用したことのない新兵器を使った。その連邦自慢の切り札とは、太陽光の反射によって基地の表面を焼く「ソーラ・システム」。
 
対するドズル中将は、その新兵器による大ダメージに加え、後方のギレンやキシリアより満足な支援を受けられなかったという事情もあって、あっという間にソロモンを放棄せざるをえない状況に陥った。
そして、指揮官自らモビルアーマーにて出撃(モビルスーツは人型のある程度小型の戦闘兵器を指し、このモビルアーマーとは異形で大型のもの全般を指していう)。部下を逃しつつ、多くの連邦艦船を巻き込んで果てた。玉砕である。
 
ソロモン改め「コンペイ島」の陥落直後、「ニュータイプ」と呼ばれる戦闘適正パイロットが搭乗する新型モビルアーマーをその疲れた体で退けた連邦軍は、遂にジオン軍最大にして最後の拠点――ア・バオア・クーに向けて進軍を開始する。
 
しかしその道中、今度は連邦軍が敵の新兵器の餌食となった。
ソーラ・レイがそれである。
 
コロニーを改装して作られた巨大なレーザー砲は、一撃にして連邦艦隊の半数を焼き、あのレビルもまた、この一閃により消滅している。
それは、ザビ家の家長でありながら息子ギレンと国民の行く末を思い投降したデギン公王と、和平会談をもつ寸前での死であった。
そして、この公王の乗る艦の消滅は、父を慕う長女キシリアも知るところであった。
 

閑話休題「ギレンが生き延びたifの地球圏を想像する」

もしもこのとき講和が成立していたら、その後の地球圏はどうなっていただろう。デギンの申し込みを前線のレビルは迎え入れてくれたが、しかし連邦が、お縄となったザビ家を生かしておくとは考えにくい。
一年戦争開戦後数日で奪われた数十億の人命はいずれも戦闘員のものではなく、たとえレビル個人が赦したとて、連邦政府が、他の連邦将帥がザビ家を見逃す筈がない。デギンは処刑台に、ギレンとキシリアは戦場に散っただろう。
 
だが、そのエンディングはいささか異なったものになっていた筈だ。なぜなら、捕らえられたデギンは殺されるが、キシリアに兄殺害の動機はなくなるからだ。
冷徹な合理主義者という点でよく似た二人ながら、あの局面でキシリアにトリガーを引かせたのは「父殺しの男が」という怒りの情念であったから、動機がなければ、迫り来る連邦に協力して立ち向かうことになる。
 
あるいは残存部隊を率い、そのまま二人でアクシズに逃れたかも知れない。
ギレンがアクシズにあれば、マハラジャのような苦労人が担がれることもなく、デラーズさえ共にあったろう。だが、後のハマーンの成功は戦後七年間に蓄えた国力の総ざらえであり、このときアクシズはまだ弱かった。サイド3を制圧した連邦軍はそのままアクシズへと進路を取り、ギレンは、火星近海を舞台に絶望的な戦いを強いられていただろう。
 
あるいは、土地勘のない連邦が逆にインパールを演じさせられるという、全く逆の想像もできる。さらにイマジネーションを高めれば、革新者ギレンは木星の開発に手を出すのではないか。彼が糾合することでジオン残党はアクシズへと消えるため、ティターンズは誕生せず、その反立エゥーゴも現れないであろう地球圏において、連邦軍は全力をアクシズ攻略に差し向けるだろうが、木星の資源を好きにできるジオン軍なら、長期に渡ってアクシズを守り抜くのではないか。
 
そして、ソーラレイを「撃たなかった」ギレンが、木星にコロニーレーザーを築き、「シンヴァツ」のごとく一気に地球を狙うのではないか。
そこまでムチャをせずとも、正史のアクシズとて三万程度の人口なら、ギレンは強権によって「産めよ増やせよ大作戦」なんていうのを発動させ、木星近海に地球とさほど遜色のない文化圏を築き上げてしまうのではないか。想像ですよ。
ちなみに、ア・バオア・クーで決着をつけず、サイド3にまで持ち込むのが文庫版である。

 
指揮官レビルが死んだ。しかし連邦軍は進む。
艦隊半壊という恐るべき事態に混乱する兵たちをまとめ、闘将ダグラスがア・バオア・クーへの攻撃の指揮を採る。
 
対するギレン総帥も本気である。しかし学徒動員といった厳しい戦況のなかでも、彼は慢心を捨て切れずにいた。一方、連邦側は先の攻撃で多大なダメージを癒せずながらも必死に戦い、今まで味わったことのない「数の上での苦境」も次第に撥ね退けつつある。
そこに、彼らへの追い風が。
 
なんとギレン総帥が、実妹であるキシリア少将によって殺害されたのである。
これは兄であるギレンが、父のデギンを密かに殺害していたことに気付いた、キシリア怒りの一撃であった。
その混乱により、一時的にア・バオア・クーは指揮を失う。その隙に基地へと取りつく連邦軍。果たして軍配はどちらに――。
 
新兵たちの必死の抵抗も空しく、混戦に次ぐ混戦により、遂にジオン軍は敗れる。
脱出を計ったキシリアもまた、とある事故により死亡。ジオン軍の戦争指導者は、その殆どがこの海戦において倒れる。戦争継続は、もはや不可能であった。

ファースト・ガンダム~語られなかったエピローグ

翌日、サイド3に入った連邦軍は、ダルシア首相と和平を結ぶ。
彼はジオンの首相でありながら、ギレン政権下においてその存在を抑えられ続けてきた悲運の人だ。
ジオン公国はその名をジオン共和国と戻し、ここに後に「一年戦争」と呼ばれることになる。人類史上最大の戦争は、こうして終結したのであった。
 

※ ガンダムファン歴が浅い人たちには意外と知られていないが、その後の『Z』や『V』などで繰り広げられた戦争はいわば局地戦のようなものであり、モビルスーツばかり高性能化していくが、巻き込んだ地域や死者数など、規模はファースト・ガンダムの「一年戦争」が段違いのスケールである。第2次大戦と、冷戦下において局地戦的に各地で行なわれた代理戦争の暗喩ともとれなくもない。

 
しかし、この戦争により人類の受けたダメージは途方もなく大きい。
開戦当初のジオン軍の一方的な攻撃と、その後の激しい戦闘により、百億居た人類は既に半分にまで数を減らせていた。
 
戦後の復興は急ピッチでおこなわれ、それ故、今まだ残るジオン軍の残党に対しては、連邦のお膝元である地球を除き、こと宇宙に対しては一切ノーマークでおかれたのである。
 
これが、次なる騒乱をもたらす基となった。

俺レビュー:★★★★★

俺みたいなもんが特に改めて評価をすべき点が見当たらないので、このままで。
挿入歌の使い方・大人がじっくり腰を据えて観られる時間なんかを考えると、未見の方は映画版のほうがオススメです。
 
近頃の作品(『SEED』以降)を見ていると、どんどん「別にガンダムでなくてもいい化」が続いているので、そろそろ平成ライダーのような中興の祖が現れてくれれば、百年続くコンテンツになっていくと思うんですけど、いまひとつ気配がありませんね。
俺ら世代は『逆襲のシャア』あたりが物心ついて一発目だから、まったくサラッピンの気持ちでは観られないのには、いつも残念に思っています。
 
ガンダムの前にガンダム無し、エヴァをリアルタイムで観られた身からすると、リアルタイムの衝撃って取り返しがつきませんからね。
くわしい感想は、他の方のレビューを見てください。名作中の名作なので、俺からは言うべき言葉が見つかりません。

この作品にまつわる俺のオススメ

このブログ内のガンダム歴史コラム記事リンク

ガンダムの歴史/序章~宇宙史の始まり

第1集~ 0079 一年戦争(ファーストガンダム)

第2集~ 0083 デラーズ紛争(0083)

第3集~ 0087 グリプス戦役(Z)

第4集~ 0088 ペズンの反乱(センチネル)

第5集~ 0088 ハマーン戦争(ZZ)

第6集~ 0093 シャアの反乱(逆襲のシャア)

第7集~ 0123 コスモ・バビロニア建国戦争(F91)

第8集~ 0133 木星戦役(クロスボーン)

第9集~ 0153 ザンスカール戦争(V)

第10集~ 0203 マハの反乱(ガイア・ギア)

第11集~ 0223 平成ガンダム以降(G・W・X)

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Author ウェブデザイナー久川智夫

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