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おそらく自分の中で、最高のゲームがこれでしょう。
ゲームバランスは悪く、シミュレーションの名を冠しながらゴリ押しだけで勝利が掴める困った作品ながら、ストーリーとセリフでRPGやSLGを評価する自分にとって、これを越えるタイトルは未だ現れていません。
この作品を非常にわかり易く説明すると、シュールな『ナデシコ』といったところで、『ナデシコ』ほどオタクな笑いに走らず、その原型である『王様のレストラン』ほど演劇的な笑いにも走らず、ゲームにおける密室劇の最高峰といえるでしょう。
Contents
戦艦内は 30 人からの大所帯ながら、一介のクルーに到るまでそれぞれキャラクターが立っており、レギュラー陣はみなそれぞれが、人間の強い部分と弱い部分とゲスな部分を持ち合わせています。
このゲームに到ってはヒロインさえ非情で、反面批判も多いのですが、人間のリアル考えた場合、あの展開も別にありなのではないでしょうか。そういやあニナ・パープルトンに髪型似てるし。
主人公の周辺では、若者たちの革命に懸ける情熱が表現され、艦内の別の場所では、つらい心情を隠しつつ艦内の若い息吹きに任せて明るく振る舞う大人たちが描かれ、その世代間の葛藤がストーリーの軸となりますが、その活力を持たない敵将は敵将で、夢を追って敗れた哀切を見事に表現しています。
ネタバレになりますが、病に倒れた覇者が死出の旅路に向かうにあたり、死後の夢を友に語りながら往生するシーンは、おそらくこのゲーム最大の見せ場なのではないでしょうか。
前述の通り、ストーリーは後半にかけて特に曇り空になってくるのですが、なぜか艦内は明るいままです。
「どう考えてもモーホーな老魔法使い」や、「鎧が暑くて常に身体を掻きむしっている重装騎兵」など、ドット絵だからまだ生々しくない面々が艦内の空気を和ませ、そこに、「序盤はマブダチだったのに段々と仲が悪くなってゆく槍兵コンビ」や、「艦長にストーカー行為をはたらく女魔法使い」、「友達ができないが仕送りは欠かさない真面目な忍者」など、設定は面白いんだけど素直に笑えない登場人物たちが、決戦へ向かう士気を良い意味で殺ぎます。
これを、大作が陥る演出過剰へのアンチテーゼとみるのは、大作主義の総本山たるスクウェアに対して穿ちすぎでしょうか。
なにしろラスボス直前のセリフが「この戦いに勝利し、家へ帰るのじゃ」ですからね。
これからゲームシナリオの本を書こうかって人は、プロアマ関わらずこのゲームを一通りプレイして、吸収できるところは吸収して筋を書いたりキャラデザしてくださると、一介の遊び手たる自分が嬉しい気持ちになれますので是非お願いしたい気持ちです。
昨今の、美少女・美少年ばっかり出てきてちっとも味のしないゲームに飽き飽きした人は、遊び手・作り手関係なく楽しめる、異形の名作です。
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