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2013/

9

30

Mon

ガイア・ギアとシャア・アズナブル(前編)

シャア=「共工」説を得意気に語る

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今日はガンダムネタなどを一席。
 
いきなりだが、皆さんは「共工」という神様の名をご存知だろうか。
古代中国史に現れる漢民族に徒なす神であり、人間の顔に蛇の身体、朱色の髪を持つ神様とされている。彼は、洪水を起こす力で漢民族を苦しめたという。
 
陳瞬臣さんの『中国の歴史』には次のように説明されている。
 

中原世界では、共工はよほど憎まれ者であったようです。
しばしば登場し、つねに悪玉でした。その登場も、まるで時間など関係がありません。悪玉が必要なときに、いつでもひっぱり出されるかんじでした。
(中略)
時をえらばずにあらわれては、やっつけられているのです。いくら神話のなかの神でも、千年近くにわたって、あらわれつづけるのは、執拗すぎます。
これは共工を祖神と仰ぐ部族が、たえず中原政権と衝突した事実を、反映していると考えたくなるでしょう。

陳瞬臣『中国の歴史』講談社文庫

 
なぜやられてもやられても何度も復活するかといえば、
別に天丼オチを狙っているからでも、ドロンボー一味だからでもない。
羌族が信奉していた神だから、というのだ。
 
羌族とは、牧羊を生業とする、漢民族に敵対した西方の部族である。
ジャンプで藤崎竜がやっていた『封神演義』の主人公・太公望の出身部族でもある。
 
「何でもガンダムに例えるのやめたら?」とCMで矢作が言われていたが、この共工という神のアウトラインを知ったとき、自分はシャア・アズナブルに似ていると感じたものだ。

伝説としてのシャアのはじまり

そもそも、シャアというキャラクターの人生はそう長くはない。
皆さんもご存知「認めたくないものだな…」というセリフに始まる仮面のシャアは、続編『Zガンダム』でサングラスのクワトロ大尉と名を変え、映画『逆襲のシャア』で倒されている。
 
この間、わずかに 15年足らず(宇宙世紀 0079 – 0093)。
リアルな年数に直すと、1979年から88年までなので、10年にも満たない命である。
共工に擬するには、寿命が短すぎるという向きもあろう。
 
が、シャアはその魅力的なキャラクターから、サンライズ公式の作品をはじめ、同人誌スレスレの商業作品に到るまで、死後もいろいろな作品に現れている。それこそ時代設定も何もかもお構いなしだ。
 
ガンダムのアンソロジーコミックである『魔法の少尉ブラスターマリ』には「魔法のふとんたたき」を与える白馬の王子様として登場したり、『Gの影忍』では、老いた達人忍者に変身して登場したり、人格すら変えられながら、ヒヨコに変身して四コマになってみたり、さまざまな外伝作品に友情(?)出演している。
 
ついには、劇中劇のキャラクターともいうべき、フル・フロンタルという存在まで現れた。
彼は、「ジオンの残党が人工的に作り出したシャア」という設定で、姿形はおろか、声優(池田秀一)まで同じときている。

「伝説の勇者」と化したシャア

シャアは死んだが、シャアのコピーや、シャアの立ち位置を演じなければならないキャラクターは、以降ガンダム作品の「決まりもの」として、登場するようになる。
 
それらは、いずれも切ないキャラクターたちだ。
ガンダムシリーズの続編を望む側にとっても、あるいはリアルタイムでファーストガンダムを目にした作り手たちにとっても、シャア・アズナブルという存在があまりに巨大で、インパクトの大きなものであったため、オリジナル・シャアは半ば神格化され、「シャアを演じようとしているが越えられない」というキャラクター設定として、頭の上に重しをされてしまったのである。いわば「伝説の勇者」と化したというわけだ。
 
『ZZ』のグレミーなども、設定としてはザビ家の人間だが、『逆襲のシャア』の制作が決まって急遽シャアの代役をやらされた、という意味では、シャアの一人としてカウントしてあげるのがよいと個人的には思うし、『閃光のハサウェイ』のマフティーも「民衆からシャアを望まれた人物」という描写があった。
シャアではないのに、劇中でシャアに擬されているキャラクターがたくさんいるのだ。

宇宙世紀の小野田さん、シャルル・ロウチェスター

赤い強化MSを駆るという点では、『フォーミュラー戦記0122』に登場するシャルル・ロウチェスターもその一人だろう。
 
シャアが死んで三十年後、彼はオールズモビルという寡兵のジオン残党を率い、最新仕様にチューンナップされた赤いゲルググで主人公たちと渡り合うのだが、いつの間にかジオンの次に台頭してきた敵組織「クロスボーン・バンガード」に取り込まれていく。
たかだか数十機のMS部隊を「我々の組織を独立国家と認めるのだ」と言ってみたり、シャアと比べると、どうにもおぼこい。設定にどこかシャアを意識しながら、越えられないし、越えさせる気もないのだ。

それからの「作られたシャア」

その後の作品にも、シャア的なキャラクターは登場する。『F91』に登場するザビーネは、ドレル・ロナというライバルをガルマ・ザビに見立てて、ようやくシャア・シリーズにカテゴライズされるだろうか。
『V』に登場するクロノクルは、ラストネームがアシャーとシャアに似ているし、顔を隠している。が、これまた「王家の弟君」という共通点では、ガルマ・ザビに寄るかも知れない。
否定されたものの、「ウッソはシャアの子孫」と囁いたのは、劇中のキャラクターではなく、「ミゲル」の姓の共通に気付いた現実のファンであったというのも見逃せないところだ。
 
宇宙世紀からは離れるが、『ガンダムW』のゼクス・マーキスは、異論の余地なくシャア・シリーズにカテゴライズすることができる。彼は亡国の王子様で、仮面の凄腕パイロットだ。
さきほど、シャア後のシャア的キャラクターは「シャアを演じようとしているが越えられない」と書いたが、このゼクスなどは、設定的にも脚本的にも、シャアとは異なる方法で偉大たらんとした人物に描かれており、好感が持てたものだ。
 
『SEED』のラウ・ル・クルーゼも、「ガンダム作品には仮面のライバルが必要」という線に見事に乗った、シャアの亡霊といえよう。
 

(長くなってきた上に、いささかこじつけの感も出てきたので後編へ続く)

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