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自由惑星同盟/末期政府

ロイヤル・サンフォード議長
政治家・指導者

最高評議会議長。サンフォード政権の首班。「政争の渦中から浮上した調整役タイプの老政客」で、万事に「先例尊重主義」をモットーとする。精彩を欠くため、一周まわって逆に議長に選出された。ところがやらせてみてビックリ、次の選挙に勝つことだけを目的にアムリッツァの悲劇を引き起こし、その責を負って辞任。悪名だけを歴史に残した。度の越した森首相のような男。

コーネリア・ウィンザー委員長
尚書・委員長

新任の交通情報委員長。サンフォード同様、次の選挙だけを目的に帝国領侵攻を推進した悪徳政治家。利己心に突き動かされて心にもない「大義」を語り、「全市民が死に到っても」という政治の論理を越えた理屈を唱えた。レベロに対し「キレイ事を」となじる様はどうにも醜い。安っぽいヒロイズムの持ち主で、それは政治に対しても、もちろん自分自身に対しても。かつては最高評議会議長の座を夢見た彼女だったが、自分を乗せた現職者を憎みつつアムリッツァ敗戦の責を負って辞任する。

ホワン・ルイ委員長
尚書・委員長

人的資源委員長。声は大きく、明晰できびきびとした話し方をする。バーコード頭が愛らしい。「死に体の同盟」という重荷を背負わなかったお陰で、最後まで良識派でいられた人物。帝国領侵攻では声高に反対を唱え、頭数合わせのために呼ばれた査問会でもヤンを密かに応援。レベロの友人だったため、彼を通じてその場所をフレデリカに教えた。ヤンの独裁者への変化を恐れる友人に反して、若き青年元帥の限界を正確に察知していたようである。しかしレベロのほうはといえば精神の均衡を失うに到り、友人の言葉をまるで聞き入れようとはせず、結局は陰謀を抑止できず終幕を迎えることに。こうしてレベロは転落し、ホワンルイは生き延びることとなった。その後オーベルシュタインの草刈りに遭遇、一時は拘禁される危機も迎えたが、その後の騒動にも無事生き延びていた。ラインハルト死後は現役復帰をするのだろうか?ちなみに彼の名前の正式な発音は「フォアン」らしい。コミック版では野上冴子のような鋭い風の女性だった。

「辞表が一通必要になるだろうな。もちろん、ヤン提督のじゃない」

ヨブ・トリューニヒト議長
政治家・指導者 データ

最高評議会議長。同盟崩壊後は銀河帝国の新領土高等参事官。エゴイズムの怪物、そして何よりも史上最悪の煽動政治家。反専制国家の悪党に相応しいやり口で権力を極め、民主国家の悪党に相応しい手段で幕切れを迎えた、ある意味この時代の申し子のような男。「全く法に抵触しなかった」という点で、ナマジの作品ならきっと彼はヒトラー似に描かれ、ルドルフ大帝のような軍事独裁という描写の楽な方法で権力を固めていったことだろう。紳士のようなルックスは独裁者よりも「詐欺師」を連想させる。輝かしい学歴と弁舌、地球教徒や憂国騎士団を抱えるという悪知恵で同盟市民を食い物にし、自らの保身のため国家に寄生。民衆は騙せても前線の兵士からは罵られ、入り込んだ敵軍の将帥からは蔑まれた。遂には帝国への寄生を試みるが、「宿主を枯れ死させる宿り木」は最後の最期で言葉を誤り、ロイエンタールによって射殺される。いかなる逆境をも自らの餌として伸し上がり、抑圧にも飄々とした態度で切り抜けた彼だったが、死に間際のモテキャラにひとつ見せ場を作っただけで、遂に終幕まで生き延びることは出来なかった。俗物揃いの政府高官にあって唯一ヤンを怖れさせ、キャゼルヌに到っては「妖怪地味た存在」とまで言わしめた点では、ミッターマイヤーの評にもある通り「凡人ではない」のは間違いないだろう。ところで後日明らかになることだが、帝国に降ってからの彼の野心は「議会設立」という、目的こそ違えどユリアンと全く同じ所にあったという。ロイエンタールが彼を始末していなければ、ラインハルト・オーベルシュタイン死後、帝国は彼によって乗っ取られていたかも知れない。

「私を知らない筈は無いだろう。君たちの国家元首だよ」
「演説はそれで終わりかね!」

ネグロポンティ委員長
尚書・委員長

国防委員長。厚顔無恥の生きた見本。トリューニヒト・シンパの一人。フェザーンに踊らされ、イゼルローンからヤンを召還。査問会という精神的リンチに掛けるが、ことごとく論破された。どうやら親分のような確たる悪意はなく、テレビ演説で「国家のためにちっぽけな死を惜しむな」と叫ぶ彼と、ヤンに「寄生虫」呼ばわりされオリベイラと共に狼狽する彼とが同一であるところを見ると、彼の人命軽視の思想は確信犯的なもので、彼は彼なりに本心からヤンを惧れていたようである。トリューニヒトに煽られた際に口にした「ヤンはそんな度胸のある男には見えない」は、ある意味アタリであり、意味ハズレであったといえよう。ともかくして第2次ガイエスブルグの勃発によって彼の目論見は崩れ、非常時にヤンを呼び出した責任をとって辞任。ヤンへの土下座のシーンが、彼の出番最後のものとなった。以降、アイランズやビュコックが巻き起こす「弱いけどカッコイイ同盟」旋風はここから始まっている――のか?ちなみに彼の天下り先は国営水素エネルギー公社の総裁。後任は彼の潔い出処進退を褒め称えている。

ウォルター・アイランズ委員長
尚書・委員長

ネグロポンティ退任後の国防委員長。三流の政治業者。トリューニヒトの傍にあって軍事企業からリベートをせびるだけの存在だったが、帝国の侵攻を前に突如として勤労意欲に目覚める。彼は彼なりに、自分の愛した同盟という国家を守らんと奔走するが、ミッターマイヤー艦隊の来襲に際しては結局トリューニヒトに抗しえず、その降伏を止めることはできなかった。この、いわば今わの際というような場面で彼が親分を越えられなかったのは、「かつての悪行」という自業自得のせいであり、「君は忘れたかもしれないが私はよく覚えているよ」の一言が、同盟にとってデッドラインとなったのである。それにしても華の無いダメキャラがそのまま終わらないという気持ち良い人物であったが。これがナマジの作品なら、彼はネグロポンティのような存在として一生をフガフガで終わっていただろう。敗戦後、半ば廃人となって病床に就く。

「提督、私は祖国を愛しているのだ。……私なりにね」

ボネ委員長
尚書・委員長

情報通信委員長。トリューニヒト・シンパの一人。政府のスポークスマンを兼ねる。トリューニヒトの群がりでしかない自分を棚に上げ、政界進出後のヤンの取り巻きを心配した。保身の権化たるこの連中は、ボスからも「飼い犬」程度の認識しか与えられていない。エドワーズ委員会からの質問状にも「回答の必要を認めず」とだけ語り、その凡庸ぶりを顕としていた。

ジョアン・レベロ議長
政治家・指導者

最高評議会議長。良心的な政治家。二度の閣僚歴を持ち、財政・経済方面の政策立案・行政処理能力に優れている。ビュコックやシトレという友人がありながら、民主国家に献身するあまり必要以上にヤンの独裁と一党の軍閥化を怖れた。財政委員長としても良識ある発言を行ない、サンフォードの帝国領侵攻という愚策を止めようと奮闘、軍事クーデターの際にもフレデリカたちを助け、トリューニヒト派の陰謀を挫こうとする。しかしラグナロックとバーラトの和約を前に帝国に抗しえず、トリューニヒトの投げ出した政権を引き継ぎはしたものの、帝国に口実を与えまいと巡らせた陰謀が逆にヤン一党の決起を促す結果となってしまった。遂にはローゼンリッターや帝国の高等弁務官・レンネンカンプ本人をも巻き込んだ大騒乱を招くこととなり、結局、最終局面で彼が選んだのは民主主義ではなく「国家」だった。これが原因で大親征を呼び込んだ後はノイローゼ状態となり、周囲からは「焼き切れ寸前」とまで噂される始末。ビュコックが玉砕したのを契機に、ロックウェルの指揮で射殺された。彼への個人的な復讐は、皮肉にも皇帝によって行われることとなる。逆アイランズともいうべき転落人生、いい役から悪役への急転ぶりには、長編ならではの深みが感じられよう。余談ながら、彼がヤンを切り捨て、レベロがロックウェルに殺され、そのロックウェルがラインハルトに処断される様は、どことなく藤原泰衡を連想させなくもない。

「私の心が痛みを覚えないとでも思っているのか !!」
「……これというのもヤン・ウェンリーが……」
「だからだ !! だからヤン・ウェンリーをその以前に処断しなければならないのだ !!」
「なぜなら! キミたちはヤン・ウェンリーではない!」

シャノン委員長
尚書・委員長

レベロ政権時の国務委員長。レンネンカンプ相手にも臆せず、モニター越しに彼とやりあった。レベロ不在時、内政干渉を理由に代表者として独り帝国軍に抵抗するが、議長の行方を問われて沈黙する。

トラバース
議員

トラバース法を制定した議員。この人物がどういう意図をもってこの法律を思い立ったのかは不明だが、ユリアンにとっては恩人ともいうべき存在に違いない。

カプラン議員
議員

トリューニヒト・シンパの一人。評議会議員。ヤンの元帥昇進と、彼の政界進出を恐れる。小難しい話をした直後には猥談に移る能天気さを持った彼らを、ボスは「飼い犬」としか認知していない。「正統政府」というカードをどう交渉に使うかを考えていたとき、ラインハルトの演説を受けて、これを「脅迫」と批難した。もちろん、自分たちの軽率さなど棚に上げた上で。

エイロン・ドゥメック議員
議員

トリューニヒト・シンパの一人。文学者、政治評論家を経て政治家となる。反トリューニヒトの人物・機関を攻撃することに喜びを覚える信者さん。クーデター鎮圧記念式典では司会者を勤め、ボスを「私服代表」、ヤンを「制服代表」の闘士として出席者に紹介した。ルグランジュと戦う前のヤン演説を「危険な思想」として批判する。

レイモンド・トリアチ候補
議員

テルヌーゼンの代議士候補。国民平和会議テルヌーゼン支部所属。士官学校の創立記念式典に出ようと市を訪れたヤンに、押し売り紛いの握手を持ち掛けた。マスコミの前に引きずり込んで演説をぶつが、これはどうやら計算づくの行動だったようである。カメラに映ったヤンは「トリアチ支持者」としてメディアに紹介され、この外道な政治ショーにヤンと反戦派は怒りを露にした。色めく報道陣に反して、彼の連れてきた少女だけが微妙な表情で軍人のヤンを見ている。後に彼はトリアチポスターを指して「町の美観を損なう」と痛烈に腐していた。

ジェームス・ソーンダイク候補
議員

テルヌーゼンの代議士候補。反戦市民連合所属。憂国騎士団に襲われていた運動員を救われた事でヤンと知り合い、彼に礼を述べる。三人の息子を第 2次イゼルローンで失って以来反戦運動に身を投じ、温和だが戦争を心から憎んでいた。似たような境遇のジェシカからは深い信頼を寄せられている。ヤン曰く「良さそうな人」、彼のトリアチ握手さえなければ選挙で勝利を収められるくらい民衆からの支持も強かったが、主戦論者によって事務所ごと爆殺されてしまった。そののち彼の活動はジェシカへと受け継がれ、党を勝利へと導いている。

ピーター運動員
一般市民・非戦闘員

反戦市民連合の運動員。ソーンダイクの事務所に所属する。憂国騎士団に殴られていたところをヤンに助けられた。ヤンが珍しく積極的に人助けをした一件で、この運動員も「酷い傷だが骨は折れていない」とのこと。

ウィリアム・オーデッツ
議員

国防委員会委員。与党議員。竜頭蛇尾のおしゃべり、太鼓持ちとあだ名される。大親征に抗議するため、特使として単身帝国艦隊の前に踊り出るも、ビッテンフェルトにパスされ、ミッターマイヤーの幕僚たちと会談を持った。しかし結局彼らを説得することはできず、皇帝のやり様に異議を唱え、若手幕僚から銃を付き付けられる一幕も。その後はフェザーンに渡ってルビンスキーと結託、キャスター出身で弁舌に長けることから、ロイエンタールの謀反疑惑を触れて廻った。能弁をもって後世に名を残す野心を抱き、帝国軍相手に大演説を試みる彼だったが、結局ストーリー通しでやったことは狼少年の真似事でしかなかった。使節のため用いた艦はドローホフIII

ジェシカ・エドワーズ女史
議員

野党議員。ヤンの親友にして、ラップの未亡人。テルヌーゼン市で音楽教師を勤める。夫を亡くしたことで戦争を直視、アスターテの追悼式典でトリューニヒトに非を鳴らし、憂国騎士団から狙われた。その後は反戦を訴え政界に身を投じると、ハイネセンで孤独な戦いを開始。軍事クーデターの際には平和集会を催し抗議するが、クリスチアンに咎められ「スタジアムの悲劇」を生んだ。「未亡人」という視点から戦争を痛烈に批判しており、嫌々言いながらも軍人であり続けるヤンなどと比べると劇中もっともマトモな人物だったのかも知れない。彼女たち平和主義者の死がクーデター派から民心を一気に離れさせた様子を見ると、二人には悪い言い様だが、彼女は図らずしてヤンに殉じ、クーデターを挫く大きな要因となっていたようだ。その名はエドワーズ委員会として以後も反戦運動の旗印となっている。ちなみにヤンやラップとは士官学校時代からの親友で、彼女としてはヤンのほうにこそ気があったらしい。反戦運動はその頃からの持ち芸だった。

「私もアナタの……親友のつもりよ、ヤン」
「いる資格の無い場所から出てお行きッ !!」

フランチェシク・ロムスキー議長
政治家・指導者

エル・ファシル自治政府の議長。政治的な能力には怪しいものがあるが、あれだけの烏合の衆をよく束ねていたといえば出来る方だったのだろう。優れたリーダーシップで同盟からの独立を果たす。その後はヤンを担いで国民を従え、トリューニヒトなどと比べれば比較的正統派で、それなりの正義も志していたようだが、ヤンにとってはそれすらも鬱陶しかったらしい。回廊の戦い後の会見において、ヤンに付き添っていたところを地球教徒によって顎を射抜かれ殺された。中々に高潔な人物で、政治的な決断よりも羞恥心を優先させる志を持つ。そのお陰でヤンは、再び背犬から帝国に売り渡されることを回避していた。死後、上層部の結束とヤン艦隊との同調も崩壊していることから、やはり優秀な指導者ではあったに違いない。もちろん、ヤンほどの求心力は無かったが。ちなみに本職は医者として知られ、かつてはフレデリカの母を診療したこともあるという。惑星の危機に際しては民間人の代表グループのような立ち回りをしていたようだが、ヤンを見る目はどうにも訝しげだった。――こういうところも銀英伝は巧い。狡猾さと良識の微妙なバランスに感服。

「冗談ですよ」

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