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旧銀河帝国/初期帝室

皇帝ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム
皇族

この作品における「絶対悪」ともいうべき存在。銀河帝国の開祖で、「神聖にして不可侵なる」皇帝。後の世では「雷帝」、「ルドルフI世」と呼ばれる。連邦末期の軍人の家系に生まれ、宇宙海賊討伐で功績を挙げたのち政界に転ずると、国家革新同盟のリーダーとして急成長を遂げた。銀河連邦の首相となってからは憲法の抜け道を潜り国家元首をも兼任して、独裁権力を手に入れる事に成功。半ば暴走、独善に満ちた政治改革も、鬱屈した当時の大衆には歓呼の声で迎えられ、彼は自らを皇帝と称して「銀河帝国」の建国を成功させた。その直後にはシンパのみを貴族として取り立て、彼らをして支配階級を構成すると、反対勢力を粛清して強固な体制を築いている。そして「遺伝子が全てを決する」という理論の下、障害者を文字通りバッサリ斬り捨てると、この悪法たる「劣悪遺伝子排除法」の制定を巡って悶着を起こした議会を永久解散させ、民主主義を完全否定した上で83歳に死去した。その遺産は銀河をまたに掛けた恐怖政治の世界そのものであり、ナチスも北の国も真っ青の暗黒時代が、この後500年に渡り続くこととなった。子供が女児ばかりだったため晩年世継ぎに悩んだが、寵姫との間に男児を得ている。しかしこの子には先天的な障害があり、彼は自らの政策との矛盾を整合する唯一の方法として、その一族に死を与えていた。ちなみに帝国人にドイツ風の姓名が多いのはこの男の趣味で、彼が貴族と認めた者、特に白人のみに称号として配って周ったのだという。ラインハルトの対極にあるのは、初見ヤンのようで実際はこの男。ヒルダの言う、「全否定の対象」としたラインハルトVSルドルフの時を越えた戦いもチョット見てみたいような気がした。

「強力な政府を、強力な指導者を!社会に秩序と活力を !!」

皇后エリザベート
皇后・寵姫

ルドルフの后。間に四人の娘をもうけるが、遂に男児は得られなかった。

エルンスト・ファルストロング伯爵
尚書・委員長

ルドルフ時代の内務尚書。帝国の「功臣」で、いわば大虐殺の「実行犯」である。社会秩序維持局の局長として悪名高く、「法律によらない主体的な判断」で40億人もの臣民を斬り捨てた。後に共和派のテロに倒れるが、ルドルフは慰霊と報復のため更に2万人もの容疑者を殺している。

アルブレヒト・フォン・クロプシュトック侯爵
尚書・委員長

ルドルフ時代の内務尚書。ルドルフの議員時代からの協力者で、かつての国家革新同盟の書記長。帝国貴族としては内閣書記官長、財務尚書を経てファルストロングの後を継ぎ、「血のローラー」と呼ばれる共和派の大虐殺を行なった。後に一族からは6人の国務尚書と7人が帝室に嫁ぎ、1人は皇后とまでなっている。しかしその家門もフリードリヒIV世時代には没落、滅亡した。

クレーフェ財務卿
尚書・委員長

ルドルフ時代の財務尚書。ルドルフが望む「カイゼル」単位の施行を財政面の理由から阻止し、メートル・グラム法を生き残らせた。新単位施行のための経費は実は必要以上に多く報告されたといわれ、温和な人柄が彼の自己神格化に無言の抵抗を示させたとも伝えられる。

ヨアヒム・フォン・ノイエ・シュタウフェン侯爵
尚書・委員長

ルドルフからジギスムントI世時代の宰相。ルドルフから娘婿にと見込まれただけのことはあって、彼の死後に起った叛乱軍を容易に撃砕。5億人もの参加者が殺され、その家族100億人が農奴階級に落とされる。生前ルドルフが築いた貴族・軍隊・官僚のトリニティの強固さを証明し、未来の皇帝たる息子を支えた。

カタリナ
皇后・寵姫

ルドルフの長女。ノイエシュタウフェンとの間に後の第2代皇帝ジギスムントI世を生む。

マグダレーナ
皇后・寵姫

ルドルフの寵姫。男児を出産するが、その子に先天的な障害があったため、「国是に反する」として秘密裏に殺された。彼女の他、一族と出産に立ち会った医師もが死を賜っている。「ヒトラー・ユダヤ人説」のような異説を思い起こさせるエピソードだ。

皇帝ジギスムントI世
皇族

銀河帝国の第2代皇帝。ルドルフの長女・カタリナと、忠臣・ノイエシュタウフェン公との間に生まれる。ルドルフの死後を狙って発生した暴動を父・ヨアヒムが鎮圧したのち若くして帝位に就き、有能な専制君主として黎明期の銀河帝国の地歩を固めた。共和主義者への弾圧は変わることは無かったが、それ以外に対しては比較的公正な施政を施す。

皇帝リヒャルトI世
皇族

銀河帝国の第3代皇帝。先帝の子。政治より美女と狩猟と音楽を愛するが、暴君とまでは到らなかった。気の強い皇妃、60人ものお妾さんを持ち、極無難な一生を終える。普通は第3代ともあれば歴史の例からも名君の出ることが多いものだが、この王朝では既にバカ殿様の誕生である。

皇帝オトフリートI世
皇族

銀河帝国の第4代皇帝。先帝の子。父より真面目ながらも陰気な保守主義者で、変化や改革を嫌うその態度は後に「灰色の人」と呼ばれることとなる。スケジュールを絶対のものとし、自然その管理にあたるエックハルト子爵の責任と権限は増大。彼の操り人形として、その一生を終えた。とにかく無趣味で無感動、軍の基地で起きた事故が一万人以上の死者を出したと聞かされた際も、「そんな報告を聞くことは今日の予定には無い」と返したという。

エックハルト子爵
貴族

オトフリートI世の政務秘書。スケジュールを絶対とする皇帝を傀儡とし、後に枢密顧問官・皇宮事務総長・御前会議の書記といった重職を兼任。冗談にも「準皇帝陛下」とさ えあだ名される始末であった。次代・第5代皇帝カスパーに対しても影響を持ち続け、彼に自らの娘を迎えるよう迫るが、フロリアン少年の存在により計画は頓挫。彼の殺害を試みたところを、リスナー男爵の指揮する一隊によって射殺された。ちなみに文庫版では醜悪な風貌で登場する彼とその娘だが、アニメ版では意外とコギレイな親子だった。

リスナー男爵
貴族

カスパーの重臣。エックハルトの専横を憎んでいたところを、皇帝の意を受けて「奸臣誅殺」の挙に出る。しかしいざ小悪党を除いたところで、当の皇帝は少年を連れて失踪していた。

皇帝カスパー
皇族

銀河帝国の第5代皇帝。先帝の子。決して頭の悪い皇子ではなかったが、エックハルト伯爵の専横への反発から長じてその才気を隠すようになる。趣味の面では父よりも祖父に似て、芸術や美を好みながらも、しかし女性には全く興味を示さなかった。彼が愛したのは合唱隊の少年・フロリアンくん(14歳)。しかし、同性愛者を大量虐殺した家系にまさか同性愛者が生まれるなどとは夢にも考えなかったエックハルトは、娘を帝室に嫁がせようと画策。フロリアンと別れることを迫るが、彼は断固拒絶した。その後、少年を殺そうとしたエックハルトをリスナー男爵が射殺、しかし当の皇帝は退位書を残し少年と共に失踪している。在位一年という記録的な皇帝であった。

フロリアン
皇后・寵姫

カスパーの愛した、カストラート合唱隊の少年。エックハルトに命を狙われるが、皇帝と共にいずこかへと消えた。

皇帝ユリウス
皇族

銀河帝国の第6代皇帝。先帝の失踪により担ぎ出された、第4代オトフリートI世の弟。76歳で即位したため将来は期待できず、重臣たちはその子・フランツオットーにこそ期待していた。しかしこの老人が余りに長寿を保ち過ぎたため、皇太子のほうが先に死亡。こちらはといえば性欲も食欲も相変わらず旺盛で、健康そのものの97歳であった。これに恐怖を抱いたのは曾孫・カール。「祖父よりも長生きするこの老人は、自分たちの命を吸って永遠に生き続けるのではないか」との強迫観念に囚われ老帝の殺害を決意すると、帝冠が舞い込むのを待てず、ワイングラスに毒を仕込んで殺害した。これが帝室初の皇帝弑逆事件となる。

フランツ・オットー大公
皇族

第6代ユリウスの子。重臣たちは第6代ユリウス本人よりも後々即位する彼の実力と人望に期待していたが、皇帝が余りに長生きしてしまったため、皇太子たる彼のほうが先に病没。父のその息子も早逝していたため、帝位継承権は皇太曾孫・カールへと移った。生前は父の乱行ぶりにも眼を瞑り、非公式の摂政として国政を統括すると財政再建に尽力。国庫の安定に努める優秀な男として知られていた。「史上最年長の皇太子」として歴史に名を残す。

カール大公
皇族

第6代ユリウスの曾孫で、フランツオットーの孫。数年後の帝冠を約束されていたが、祖父よりも長生きをする曾祖父に恐怖を抱き、遂には彼の毒殺を決意する。半ば迷信に基づいた防衛意識の下、宮女を買収してワイングラスに毒を塗った。しかし証拠隠滅のためその共犯者に死を命じたことで彼の運命は急転、宮女が事件の真相を兄の近衛士官に知らせたため、計画は露見した。こうしてカールはジギスムントII世によって宮中に監禁されたのち精神病院へと移され、皮肉にも曾祖父以上の長寿を保つこととなる。――但し、誰にも知られることなく。

ハーン伯爵
尚書・委員長

ユリウス時代の国務尚書。フランツオットーの忠実で有能な補佐役。ジギスムントII世によって解任され、その地位は無能な皇帝の腹心へと与えられた。

ベーリング帝国騎士
尚書・委員長

ユリウス時代の財務尚書。フランツオットーの忠実で有能な補佐役。ジギスムントII世によって解任され、その地位は無能な皇帝の腹心へと与えられた。

ケッテラー元帥
尚書・委員長

ユリウス時代の軍務尚書。フランツオットーの忠実で有能な補佐役。ジギスムントII世によって解任され、その地位は無能な皇帝の腹心へと与えられた。

アルブレヒト・フォン・ブルックナー子爵
学者・教師・歴史家

「銀河帝国前史」の編纂に携わった歴史学者。時代は不明だが、引用された文が「歴史と芸術の世界から色情狂と同性愛者を追放すれば人類の文明は成立しない」とあるため、恐らくは第3代リヒャルトI世と第5代カスパーについて語ったものと思われる。これが当時の学芸省に認められたのか、不敬罪に問われたのかは不明だ。

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