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自由惑星同盟/第5艦隊

アレクサンドル・ビュコック元帥
軍幹部・高級将校 データ

第5艦隊の司令官、後の宇宙艦隊司令長官。16歳の折り二等兵で初陣を飾って以来、50年もの軍歴の間に元帥まで出世した宿将。ラインハルトと比して13倍もの戦場経験を誇り、ミッターマイヤーをして「呼吸する軍事博物館」と言わしめる。しかし開明的ながらも頑固な態度から、その待遇は恵まれていたとは言い難い(ヤンが初めて彼の名を知ったとき、この老提督はマーロビア星域の警備司令官などというド辺境に飛ばされていた)。慎重を期する至極当たり前な態度が、徹底抗戦を叫ぶ同僚からは疎まれ続けて来た。ヴァンフリートではボロディンと共同して敵を抑え、第3次ティアマトではホーランドを度々制止、敗北後は整然と軍を返す実力を見せ、帝国領侵攻においては作戦そのものを批判する。ヤンを「利敵行為」となじるフォークを一喝する貫禄を示した。アムリッツァ後は宇宙艦隊司令長官となるも、ヤンの提言虚しくクーデター発生を阻止できず、彼らによって身柄を拘束された。これはヤンによって助けられるが、トリューニヒト派の専横によって立場を狭くしている。「忌々しいだけだ」と彼らの姑息さを歯に衣着せず批難するが、陰謀家たちが何をしようとラインハルトには通じず、第1次ランテマリオにおいて彼は総大将。同盟「最後の壁」となるが、これはラインハルトによって破られ、自決しようとブラスターを手にとったところをチュンウーチェンに止められた。バーミリオンではミッターマイヤーに屈するトリューニヒトを説得するも、地球教徒に阻まれて失敗している。退役後は平穏に暮らすが、大親征を前に発起すると、30歳という年齢制限のもと再び(――同盟にとっては最後の)艦隊を率いた。マル・アデッタで敵をキリキリ舞いさせるが、戦力差はいかんともしがたく敗北する。ミッターマイヤーの降伏勧告も敢然と一蹴して、ラインハルトに「民主国家・最後の軍人」としての最低限の意地を見せた後、壮絶な戦死を遂げた。死後ポフランは「同盟には勿体無い爺さん」と評していたが、トリューニヒト寄りの軍人たちを見ているとその通り、ラインハルトの言ではないが、「ヴァルハラで彼に詫びねばならない」者は多いだろう。軍上層部では数少ないヤンの理解者で、アムリッツァ撤退や救国軍事会議のクーデターの際など、建前をこそ大事とする彼に数々協力している。彼やシトレ、グリーンヒルなど、理解ある先人たちの口添えなくしてヤン・マジックは成立しないと改めて感じさせられた。ちなみに妻子持ちだったが、現在生きているのは奥さんだけらしい。艦隊旗艦はリオ・グランデ

「ワシの過去の経験によればね」
「……また老人が生き残ってしまったか」
「ワシはかなり過激なことを言っておるようだな」
「年寄りは独り言が多いでな……」
「これまでだな……。かくて陽は沈み、一将功ならずして万骨は枯る……」
「すまんなあ、ヤン……」
「そう、演説すべきときは既に終わった。もはや行動の時だ」
「ヤンが敗北するとしたら、ヤン自身の理想へのこだわりによってだろう」
「バーミリオン会戦のとき、ヤンは政府の停戦命令を無視すべきだったのだ。言ってはならんことだが、彼自身のためにそうすべきだったのだ」
「考えてみるとワシは多分幸せ者じゃろう……」
「来世か……」
「……バカ者が……」
帝国軍の降伏勧告に対して――

カイザー・ラインハルト陛下、ワシは貴方の才能と器量を高く評価しているつもりだ。孫を持つなら、貴方のような人物を持ちたいものだ。
――だが、貴方の臣下にはなれん。
ヤン・ウェンリーも、貴方の友人にはなれるが、やはり臣下にはなれん。他人事だが保証してもよいくらいさ。
なぜなら、偉そうに言わせてもらえば、民主主義とは、「対等の友人をつくる思想」であって、「主従をつくる思想」ではないからだ。
ワシはよい友人が欲しいし、誰かにとってよい友人でありたいと思う。だが、よい主君もよい臣下も持ちたいとは思わない。
だからこそ、貴方とワシは同じ旗をあおぐことはできなかったのだ。ご厚意には感謝するが、いまさら貴方にこの老体は必要あるまい――」
(宇宙暦799年12月。それは、自由惑星同盟軍、最後の宇宙艦隊の出撃であった)

モンシャルマン少将
軍幹部・高級将校

第5艦隊の参謀長。ヴァンフリート4=2に参加、ビュコックから戦いの推移する予想を聞かされる。

エマーソン中佐
中級司令官・艦長 データ

リオ・グランデの艦長。第1次ランテマリオ、マルアデッタに参加。同盟軍最後の出撃に携わり、命と引き換えにその幕引きも見届けた。「30才以上の未成年」は参加を許されていないだけにある程度の年齢と思われるが、声がクロノクルなのでかなり若く見えた。

「準備、完了しております」

ファイフェル少佐
副官・補佐官・侍従 データ

第3次ティアマト以降のビュコックの副官。なかなかに過激な軍人で、ジェシカの反戦思想やラグナロックを呼び込んだ政府の無能を非難。「クーデターが成功していれば良かった」とすら口にしていた。ヤンのほのめかすクーデターの発生を調査するが、「憲兵ではない」だけに、これには功績を挙げていない。第1次ランテマリオの直前、心臓発作で意識不明の重体となった。

スーン・スールズカリッター少佐
副官・補佐官・侍従 データ

ビュコックの副官。容貌や言動もごく尋常、大過なく任務をこなす士官だが、綴りが想像できない程に珍しい姓を持つ。中学時代は首席ながらも、この苗字のため卒業式では恥をかき、士官学校に入ってからはフォークの同期として、その他大勢に数えられた。入隊後はビュコックの副官・ファイフェルの補佐役として活躍。彼が倒れた後は、この珍名士官がビュコックの副官となる。役目に就くにあたり、老提督は彼の名を省略してスーン・スールと呼び、彼自身もまたこれを正式な姓としてしまった。これにより、「父親候補が三人いるから全部くっつけて名乗っている」などと悪い冗談を言われることはなくなったろう。ビュコックに尽くす彼だったが、年齢制限に引っ掛かってマル・アデッタには不参加。しかし彼の名代としてワインを抱えてヤン艦隊に赴くと、以後彼に従った。敬愛するビュコックの死を要塞内で聞き、彼は十五年ぶりに泣いたという。回廊の戦い後にはヤンの付き添いとしてレダIIに乗船。三次元チェスのカモにされるが、地球教徒の襲撃によって負傷してしまった。長く療養が続くが、復帰後はラオと並んでアッテンボローを支える。シヴァ後そのアッテンボローが軍を投げ出した後には、彼に代わって軍務を任されることとなった。「独創性はないが、責任感はアッテンボローの1.6倍ばかりある」とのこと。余談ながら、この奇妙な姓の元ネタは原作田中氏の夢に出てきた謎の人物の名で、氏は、このスールズカリッターさんに追い回されたのだという。

「生き残ってしまったよ、一人だけ……」

クレメンテ大尉
副官・補佐官・侍従

帝国領侵攻時のビュコックの副官。上官のロボス上申の際も脇に控えていたが、フォークが画面から消えた理由を当たり前ながらも説明できなかった。

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