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自由惑星同盟/統合作戦本部

シドニー・シトレ元帥
軍幹部・高級将校 データ

統合作戦本部長。2メートル近い巨体を持つ初老の黒人。地味ながら重厚な人格の持ち主で、派手な人気はないが幅広い支持者を持つ。組織管理や戦略といった根っからの上層部の仕事を得意とし、戦術ではビュコック譲りの能力を発揮した。中でも彼の功績として大きなものは「イゼルローンの厚化粧」を剥いだことで、これによって元帥への昇進を遂げている。かつては士官学校の校長も勤めたことがあり、教育家としては開明的にして目配りの行き届いた人物。サボリ癖まで知り尽くした学生のヤンの評価は、「老獪で喰えない人」、「口が巧いクセに正直で妙に憎めない人」だった。しかし生徒の言う皮肉をも受け止める度量の広い人物であることから、決して仲は悪くなかったらしい。ヤンが軍功を挙げた後は彼の成功をして軍部の力を強め、トリューニヒトに対抗しようと目論む。期待通りそれは果たされたものの、アムリッツァでは計画そのものを不支持ながら、敗北した責任をとって退役している。その後は故郷カッシナの果樹園で養蜂を営むが、クーデター鎮圧の際は「ヤン艦隊支持」を表明したことで諸勢力を離反せしめ、影響力の根強さを証明した。ところが同盟滅亡後の暴動においては一参加者として流されるままとなる。ロイエンタールの前では堂々たる申し開きにより彼を威圧するが、直後オーベルシュタインによって捕らえられ、ラクプール事件では左の踵を骨折する怪我を負った。これは生き延びて無事釈放されている。艦隊旗艦はヘクトル

「良くやってくれた……」
「私は、今度は自分の責任から逃げはしない」

ラザール・ロボス元帥
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宇宙艦隊司令長官。若干アバウトな点こそあるが、かつては前線、後方ともに活躍する優秀な男だった。しかし40過ぎてから衰退が目立ち、近頃はグリーンヒルの支え無しでは危険な程。たるんだ頬肉はどうにも覇気を感じさせない。ヴァンフリート、第6次イゼルローン、第3次ティアマト、第4次ティアマトと危なっかしい指揮を続け、極めつきのアムリッツァでは2000万人もの戦死者を出す大打撃を被っている。彼のこの衰退振りには諸説あって、「若かりし頃の活躍の反動で脳軟化的症状が引き起こされた」とも、「慢性の心臓疾患のせい」とも、「シトレと地位を争って敗北したから」とも囁かれる。「美女に見境のない彼が、帝国の女工作員から病気を染されたせい」という説もあり、近しい者以外からもその衰退ぶりは見通すことができた。更に軍人生活の最後のほうではとうとう派閥形成にも乗り出し、新任のフォークとホーランドをその影響下に置くが、後者は師から受け継がれぬ無謀な戦術で命を落とし、前者は師の威を借り多くの将兵と帝国民衆を死に追い込む悪魔君ぶりを見せた。このような男の独走専断を許し、そのマイクとされることが、ボケの末期症状だったとも思えなくもない。戦術的手腕はヤンをして「おみごと」と言わしめる程だったが、そういう意味でも「艦隊司令」止まりであって、戦略家の頂点たる「統合作戦本部長」にはなるべからざる将帥であったろう。ちなみに母親は帝国からの亡命者だった。艦隊旗艦はアイアース

クブルスリー大将
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統合作戦本部長。第1艦隊の司令官として首都警備・国内治安の任にあたり、お陰でアスターテ・アムリッツァ共に敗北することはなく、のみならず宇宙海賊の討伐や航路の安全確保に功績あって、アムリッツァ後は統合作戦本部長に就任する。士官学校も優秀な成績で卒業したことから、「いつかは最高権力を手にする」と噂されていた。シトレ・ロボス両人の勇退によって予想以上のスピードでその地位に就くこととなるが、エリート組らしからぬ部下に対しての奢らない態度と、その誠実さが狂人を前に危険を呼び込むことになった。クーデターの際はフォークの凶弾を受けて全治三ヶ月の大怪我を負うも、退院後は現役復帰を果たしている。しかし軍内部にまで入り込んだトリューニヒト派との摩擦にうんざりして、結局は知己のビュコックを置いて退役。ヤンには比較的理解のある人物だっただけに、後任がドーソンなどというのがとても悔やまれる。

ドーソン大将
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統合作戦本部長。かつては憲兵隊司令官、国防委員長情報部長などを勤め、トリューニヒト派の一員としてそこそこの功績を残す。士官学校の教官も勤めた経験があり、アッテンボロー時代には生活指導主任となっていた。クブルスリー射殺未遂事件発生後、彼の後を継いで軍部ナンバー・ワンの座に就く。ビュコックをして「わしが兼任したほうがマシだったかな」と言わせる程に小心で神経質、私怨を忘れない恐ろしい人物。その「ケツの穴ちっちゃい」エピソードには事欠かず、席次が上ながらも失敗をして自分の部下となった旧同窓生をいびり抜いたり、学生たちに試験の答案を返すとき点数を読み上げ、成績の悪い生徒には「君は勉強したのかね」とイヤミたっぷりに聞いてみたり、極めつけの話は第1艦隊の後方主任参謀をしていた頃のもので、ジャガイモをダストシュートから引っ張り出してきて部下たちの食糧の浪費を戒めた話。とにかく小役人根性爆発な立ち回りを演じ、「じゃがいも士官」の異名を得るに到る。グリーンヒルは彼を評して「大将に昇進したのさえオカシイ程度、事務能力はともかく人望がない」と語り、周囲の人々も「用兵家としては凡庸」との評価を与えていた。アッテンボローは学生時代から彼を嫌い、このイヤミな教官を罵るが、年齢と階級の差を嫉まれたヤンは最初その理由を理解できなかった。軍人たることが本意ではない彼らしいエピソードであろう。一方ヤンと比較するのは酷だが、こちらは用兵家としてのみならず戦略家としても凡庸どころか下も下。その反応の鈍さがクーデター派に首都星決起を許し、同盟を分裂に導いた。ちなみにトリューニヒトの命令でエルウィン・ヨーゼフII世を匿ったのは彼で、実戦においては無能でも、こういった種の任務は得意だったらしい。その後ラグナロックに際しては恐怖の余り、ビュコックのなだめが無くては本部の秩序すら守れず顔色も食欲も失ってしまった。バーミリオン後は帝国軍によって収監されたらしいが、あんまり大っきな音立てたらビックリして死ぬかも。――余談ながら、「憲兵」といい「ゴミ漁り」といい、田中氏の中でのモデルは東條首相ではないかと思われる。

チュン・ウー・チェン大将
軍幹部・高級将校

統合作戦本部所属。オスマン後任の総参謀長。つい最近まで士官学校の戦略研究科にいて、更に副参謀長としてあったが、前任者の急病でビュコックから指名を受ける。「パン屋の二代目」と呼ばれる程に緊張感に欠ける風貌で、クーデターの際は普通にビュコックとの面会を果たしたというエピソードまであった。食事のマナーもそれに比例して悪く、あのヤンに笑われたことすらあったらしい。いつも胸ポケットにパンを持ち歩き、物事の比喩までパンでおこなうトボケた将校だが、しかし口にする内容は芯を喰って鋭かった。初登場の第1次ランテマリオに先立つ会議では、ヤン艦隊を最大限に利用する方法を発案。「訓令文」のみでそれをやってのけるが、本戦においては周到な下準備も虚しく、味方の無秩序によって敗北する。自決を試みるビュコックを抑え、「敵への責任のために」と彼を説得した。その後、大親征を招いてからはレベロをなだめてビュコックに従い、同盟最後の作戦を指揮。敵に備える傍らヤン艦隊への戦力分配もおこない、訪れぬやも知れない後日のため配慮した。「どうせ糾合しても勝てない」という彼の言葉には、諦めや悟りよりも、ボルテージこそ低いがヤンという不敗の名将に懸ける勝利への執念が感じられる。ムライらに艦隊と妻子を託し、その後激戦の末にマル・アデッタで戦死する。ビュコックと共に杯を掲げての「民主主義に乾杯」には、敗北こそ喫しながらも何かをやり遂げた男の美しい表情があった。同じ主食でも「じゃがいも」ドーソンなどとはえらい違いです。ちなみに何かとパンにまつわるエピソードの多い男で、真偽は不明ながら就任前の下見に士官学校を訪れたところ、出入りのパン屋と間違われて食堂の裏口に連れていかれたこともあったいう。

「ヤン・ウェンリーと戦えと仰るなら私は戦います。勝算などありませんがね」
「お帰りなさい、閣下!」
「無論、ジョークだよ」
「来世は医者にでもおなりください。それでバランスがとれる筈です」
「ヤン・ウェンリーは、何かと欠点の多い男ですが、何者も非難しえない美点を、ひとつ持っています」
「それに……自由惑星同盟が完全に滅亡する有り様も、ですか?」
「ここは我々にお付き合い願いたいものですな」
「民主主義に、乾杯!」

ロックウェル大将
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レベロ政権時代の統合作戦本部長。薄汚いハイエナ。半分軍人・半分政治家のような男。トリューニヒトに取り入り今の権力を手に入れた。親分の縁でヤンの査問会に出席、立場上の胡散臭さを疑われ、ヤンからはこのとき既に睨まれている。レベロ政権下ではオリベイラの入れ知恵のもとでヤンの抹殺を指揮し、全ての裏をかいたシェーンコップを「裏切り者」と罵る。同盟存続のためには議長の死もやむなしと、しかしそれを決断するのはこの男ではない。ヤン一党を取り逃がした後も統合作戦本部長としてハイネセンに留まったが、軍歴よりも陰謀家のキャリアのほうが長かったせいだろう、ビュコックの死に動揺すると、今度はラインハルトに取り入ろうと、フンメルの差し金でレベロを殺害する。結局その外道な「裏切り行為」を責められ処刑された(恐らく、レベロを殺してもヤンを殺しても、あるいは何もしなかったとて、軍の最高責任者が戦犯に問われることは免れなかったであろうが)。ちなみに、「やや血圧が高い」というのが唯一の彼の悩みらしい。

「私は知らん !! 政府に聞けッ !!」
「このやり方を教えてくれたのは閣下!アナタだ !!」

オスマン中将
軍幹部・高級将校

統合作戦本部所属。ランテマリオ直前の宇宙艦隊総参謀長。ビュコック主導による帝国軍迎撃の作戦会議中、急性脳出血で倒れた。ベッドの中で更迭され、後任はチュンウーチェンがその席に就くこととなる。

キーツ中将
軍幹部・高級将校

統合作戦本部所属。人事課長。退役寸前の老人。ヤンに第8艦隊転属の辞令を渡し、彼の休暇は終わりを告げる。

コーネフ中将
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統合作戦本部所属。帝国領侵攻作戦におけるグリーンヒル直下の士官で作戦主任参謀の地位にあり、以下五名を束ねる。

リバモア中将
軍幹部・高級将校

人事部長。同盟軍11部局のうちひとつのトップ。フェザーン駐在武官となるユリアンに辞令を渡した。七割方トリューニヒト派と目される人物で、ボスの心証を良くしたいところだが、ユリアン相手に歓心をかう気にもなれなかったらしい。結局必要以外のことは一切発しなかった。どうやらアイランズ直々の人事だけに、ユリアンをトリューニヒトのお気に入りと勘違いしたようである。

ビロライネン少将
軍幹部・高級将校 データ

統合作戦本部所属。帝国領侵攻作戦におけるグリーンヒル直下の士官で情報主任参謀の地位にあり、以下三名を束ねる。詳細は不明だが、ダゴン時に活躍したビロライネンとは血縁関係にあるのかも知れない。

マリネスク少将
軍幹部・高級将校

統合作戦本部所属。シトレの主席副官。帝国領侵攻に先立つ会議に、上官に従って出席した。

ウィッティ大佐
軍幹部・高級将校 データ

クブルスリーの副官。フォークの射殺未遂事件の際も上官の近くにあった。崩れるクブルスリーの身体を支え、「遅い、撃つ前に捕らえられんで何の為の衛兵か」と部下たちを怒鳴る。

ジャワフ大佐
特務兵・工作員 データ

ロックウェルの命で、シェーンコップ・アッテンボローの捕捉に向かった実戦指揮官。二個中隊を与えられていたが、夜のハイウェイを舞台に軽くあしらわれてしまった。ローゼンリッターを前に彼自身も傷を追い、皮肉たっぷりに上官へを諌めて通信を切られた。陰謀の下請けの下請けのような役回りを果たす。

「誇張ではあっても虚構ではないのです !!」

ヤマムラ少佐
技術者・技術士官

イゼルローンに留まる軍医。ヒステリーを起こして倒れたフォークを運び、その詳細をビュコックに報告する。フォークのような男に多くの部下たちの運命を委ねねばならない提督の状況に同情し、力なく笑った。医学以外の件に関しては権限を持たないため、話をグリーンヒルに代わる。ちなみにコミック版では中年のおばさん。原作とコミック版で性別がいじくられたのは、ルビンスキーだけではなかった。

エドモンド・メッサースミス少佐
特務兵・工作員

グリーンヒル副校長時代の教え子で、娘の結婚相手にと見込んでいた節のある優秀な士官。原作では味方、アニメでは敵という変わった存在。査問会の一件で奔走するフレデリカをビュコックへと取り次いでくれるが、アニメ版では憂国騎士団に売り飛ばした。話しぶりから察するに、団員の一人だったのかも知れない。文庫版での話しぶりでは、どうやらフレデリカの母の死を知らなかったらしい。

グッドウィン大尉
一般兵・パイロット

軍広報部からヤンに遣わされた士官。英雄となった彼のマスコミ対策のため、スポークスマンとマネージャーを兼ねて遣わされた。彼にスケジュールを伝え、官舎の説明をする。今朝までは上官だったこの中年の将校を、信任の少佐は感慨深げに眺めた。

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